今回は、投資用不動産の購入時のおいて「素早い決断」を下すためのポイントを見ていきます。※本連載は、収益不動産経営コンサルタントの三木章裕氏と、一般社団法人全国古家再生推進協議会の理事長などを務める大熊重之氏の共著、『儲かる! 空き家・古家不動産投資入門』(フォレスト出版)の中から一部を抜粋し、「空き家・古屋物件」の選び方&買い方を、事例をもとに探ります。

手持ちの現金で買える、低価格な物件が欲しい前本さん

前本さんは、大阪市内のサラリーマンで45歳の営業職です。株やFXをやっていたのですが、リスクが高いと考えて現物の不動産投資に変えようと勉強していました。しかし、いきなり何千万円も投資する勇気も出ないし、どうも区分マンション投資のセミナーに行ってみてもピンとこなかったのです。

 

そこでHPで全古協を見つけ「これだ!」と思い、すぐに参加しました。

 

前本さんは、空き家・古家物件見学ツアー2回目の参加で買付を入れることになりました。もちろん初めて不動産投資をするので、手持ちの現金でなるべく価格を抑えたものが欲しいと考えていました。

いくらまでなら購入するか、利回りなどから事前に算出

そこで、物件見学ツアーで見た2軒目のテラスに注目しました。

 

「あのテラスどうでしょうか?」

 

「いいと思いますよ。駅からもそう遠くなく、裏が公園で明るいので、入居付けは難しくないと思います。試算はしましたか?」

 

「はい。家賃がテラスなので4万円、工事額は先ほど再生士の方に聞くと120万円と言っていましたので、年間家賃48万円、利回りを15%に設定してみました。計算すると320万円で、そこからリフォームの120万円を引くと200万円となります」

 

それを聞いて私は、販売価格は250万円でしたが、200万円で指値(※)をさせていただきました。結果は「220万円なら売却します」と売主さんから返事がきました。

 

(※)指値……不動産の買付金額。

 

それを言うと、前本さんは2つ返事で購入を決めました。ただし、私が買付を入れる前から前本さんに伝えていたことがあります。

 

「200万円で買付を入れますが、通らない場合にいくらなら売りたいとの返事がくる場合があります。その時のために、いくらまでなら購入するか考えておいてください」

 

「はい。わかりました。ただどれくらいが妥当なのでしょうか?」

 

「240万円なら14%の利回りになります。この物件は比較的条件がよく入居付けには困らないと思うので、そこまでならいいと思います」

 

「わかりました。そうします」

 

そんな会話をしていたので、売主から返事があった時にすぐに決めることができました。もし、そこで迷っていたらほかの方に話が流れたかもしれません。常に早い判断をするには準備も大切です。

 

その後、リフォームをして募集1カ月後には入居者も決まり、それが前本さんには自信になったようです。彼はその後、1年半で7軒の物件を購入しています。

儲かる! 空き家・古家不動産投資入門

儲かる! 空き家・古家不動産投資入門

三木 章裕,大熊 重之

フォレスト出版

◆2018年には5~6軒に1軒が空き家に! 空き家・古家不動産投資とは、物件を安く買い、リフォームをして収益賃貸物件に再生することです。いまや空き家・古家は社会問題になっており、これからも増加の一途をたどっていきます。…

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