前回に引き続き、空き家・古屋の購入を検討する際に、物件に見合う予算を算出する方法を説明します。今回は、工事額の算出等について見ていきましょう。※本連載は、収益不動産経営コンサルタントの三木章裕氏と、一般社団法人全国古家再生推進協議会の理事長などを務める大熊重之氏の共著、『儲かる! 空き家・古家不動産投資入門』(フォレスト出版)の中から一部を抜粋し、「空き家・古屋物件」の選び方&買い方を、事例をもとに探ります。
工事額の算出で、不備が発生するリスクを減らす
前回の続きです。
次に工事額の算出です。これは現地に行ってみるしかありません。内覧させてもらって、その場で工事費を出します。算出に要する時間は10~15分くらいです。
時間が少ないと思われるでしょうが、これは買付のスピードを上げることと不動産業者に余計な時間を取らせないことからです。ベテランになると、自分であらかたの工事額を算出できるようになりますが、経験の少ない方、もしくは自信のない方は、再生士と一緒に調査に行ってもらうことをお勧めします。
物件を買ってから「ここも工事をしないといけない」「こんなところが壊れている」などのリスクを減らすことができます。家賃と工事額が出ていれば、冒頭の計算式に当てはめれば買付額が出ます。
利回りは、関東では12~14%(15~25坪)が相場
次に利回りの基準です。これは地域によって多少違いがあります。関西では、13~15%(10〜15坪)、関東・名古屋地域では、12~14%(15~25坪)が相場だと思ってください(現時点で)。
物件の違いでは、テラスや再建築不可(※)などは希望の利回りより1~2%高くします。これはリスクを収益で補うからです。
(※)再建築不可……現在の建築基準法で建物を建て直せない物件。たとえば建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の(建築基準法上の)道路に間口が2m以上接していなければ、その土地に建物は建てられない。
駅から遠い、急な坂道があるなど条件の悪いものも1~2%高くします。逆に駅のすぐ近く、都市中心部に近い、評価額が高いなど条件のいいものは1~2%低くします。また、借地の場合は17%以上、時折20%以上の利回りが出せる物件もあります。
利回りについては、多くの空き家・古家再生をやっている中で、経験から適度な利回りだと考えています。
利回りが高いということは、それだけリスクも高いということです。ですから、今示した以上の利回りを求めすぎると思わぬ落とし穴にはまる可能性が高くなります。投資はバランスが大切です。
売主も不動産業者もすべてが納得いく利回りがこの辺りなのです。買い叩いて1人だけ得をしようとすると、そこには情報が集まりません。すると成長力が落ちてしまいます。それが長く大家業をして継続成長する秘訣です。
株式会社大阪賃貸不動産経営研究所
所長
収益不動産経営コンサルタント
収益不動産経営コンサルタント。一般社団法人日本不動産コーディネーター協会理事長。一般社団法人全国古家再生推進協議会顧問。指導先の資産形成額が300億円以上にのぼる、不動産による資産づくりの専門家。喜ばれる大家の会事務局長。
大阪中心に親の代から不動産業・大家業を営み、アパート・マンションの経営については、一般社団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)の浦田健氏に師事、大阪にてパートナーコンサルタントとして活動。一般のサラリーマンでも無理なくできる資産形成としての不動産投資のノウハウを伝授している。特に、現在は全国に1000万戸を超えるといわれる「空き家」を活かして手軽に収益化するノウハウを提供。「空き家」という社会問題の解決し、住まいを確保することが困難な人々と投資家をマッチングして、たくさんの人を豊かで幸せにすることをミッションに日々邁進している。
著者プロフィール詳細
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連載事例解説!「空き家・古屋物件」の選び方&買い方
一般社団法人全国古家再生推進協議会理事長
一般財団法人日本不動産コミュニティー講師
株式会社オークマ工塗代表取締役
オークマグループCEO
1966年生まれ。町工場が密集する東大阪市で、父親から引き継いだ部品塗装の会社を引き継ぐも、下請けから脱却できない不安を抱える。そんな時、空き家・古家不動産投資を知り実践、資産を築く。同時に、周辺の中小零細企業の経営者も収入源と将来の不安に悩まされていることに疑問を感じ、空き家・古家不動産投資で別の収入源をつくることを提案し協議会を立ち上げる。
現在では、会社経営のほか、自らも大家業をしながら現在までに350棟以上の古家再生をし、中小企業経営者、サラリーマン、主婦まで多くの大家を生み出している。
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