「スタッフを巻き込んだクリニック経営」…耳鼻咽喉科の成功事例

今回は、スタッフを巻き込んだクリニック経営の成功事例を紹介します。※本連載では、アンリミテッド株式会社の代表取締役で、医経統合実践会を主宰する医経統合コンサルタントの根本和馬氏が、クリニック開業を成功に導くための「頼りになるスタッフ」の育成術等を解説します。

患者からも丸見えの「スタッフの言い争い」が転換点に

本連載はクリニック経営にスタッフを巻き込むための手法などをお伝えするのが主なテーマですが、今回は、実際にスタッフを様々な取り組みに巻き込むことに成功されている院長先生のインタビューを掲載します。

 

今回、インタビューにご協力頂きましたのは、坂井耳鼻咽喉科(愛知県春日井市)坂井邦充院長です。

 

Q.ご開業されて何年目ですか?

 

A.開業したのが、2000年です。2017年11月で18年目になりました。

 

Q.ご開業しようと思われた理由は何ですか?

 

A.新しい教授が大学に着任して、医局の雰囲気が変わってきたことや、同期の耳鼻科医が開業する予定があり、自分も乗り遅れないようにと思い、開業を決断しました。

 

Q.現在のスタッフ様の人数構成を教えて下さい。

 

A.スタッフは14名です。内訳は、医療事務7名(常勤5名、パート2名)、看護師7名(常勤6名パート1名)です。医師は院長である私1人です。

 

Q.ご開業して「これは大変だったな」と思われたエピソードがありましたら教えて下さい。

 

A.数年前、診療中の受付の中で、スタッフ同士が言い争いをしたことです。待合室にいる患者様からも、その様子は丸見えでした。院長である私自身の管理能力不足、そしてスタッフ教育をしっかり行ってこなかった事実を露呈する事態となりました。私自身すごく反省させられ、この一件以来、組織の在り方、スタッフ教育などを見直す大きな転換点となりました。

 

Q.ご開業して「開業して良かったな」と思われたエピソードがありましたら教えて下さい。

 

A.当院は、スタッフが14名という小さな組織ですが、開業医には勤務医時代では味わうことの出来ない、組織をマネージメントする醍醐味があります。スタッフ一人一人の個性をよく理解することで、スタッフと共に一つのクリニックを作り上げていくことが出来ます。そして、様々な取り組みを行っていくことで、スタッフの成長を実感できる楽しみもあります。開業して数年間は、組織をまとめていく力が足らず、院長ならではの孤独感を感じていましたが、最近はスタッフと共に楽しく仕事が出来て、開業して良かったとしみじみ実感しています。

 

「医院理念」の周知でクリニックが一つに

Q.ご開業される中、様々なご苦労があったことと思いますが、坂井先生が「この取り組みをしたことによって、クリニックに変化があった」とお考えになる具体的な取り組み事項がありましたら教えて下さい。

 

A.まずは、医院理念を作ったことです。医院理念が出来たことで、クリニックの運営方針にぶれがなくなりました。何か迷ったら、医院理念に照らし合わせれば、自然に方向性は決まります。一貫した方向性をスタッフに示すことで、スタッフが同じ方向を向くようになり、クリニックが一つにまとまったと感じました。

 

また、実際にクリニックを運営するにあたり、当院では運営の柱となる「3つのカード」の取り組みを行っています。3つのカードとは「ありがとうカード」「お褒めの言葉カード」「改善提案カード」です。

 

「ありがとうカード」は、サンクスカードとも呼ばれていますが、スタッフ同士で、日頃の「ありがとう」を言葉だけでなく、カードに書いて相手に感謝を伝える取り組みです。14名のスタッフの間で、年間5000枚ほどの「ありがとうカード」が活用されていて、スタッフ間の潤滑油になっています。

 

「お褒めの言葉カード」は、患者様からいただく「ありがとう」「親切だね」「優しいね」などのお褒めの言葉を、スタッフ全員で共有する取り組みです。褒められたスタッフは、専用のカードに内容を記入し、スタッフ全員が見ることができるように貼り出します。年間200枚ほどの「お褒めの言葉カード」が活用されていて、仕事へのモチベーションに繋がっています。

 

「改善提案カード」は、職場内の改善したい事を内容の大小を問わず、スタッフ全員に毎月最低1件は、提出してもらう取り組みです。改善したい内容を「改善提案カード」に記入してもらいますが、提案した本人が責任を持って改善する仕組みにしています。年間200枚ほどの「改善提案カード」が活用されていますので、年間200件の改善がなされていることになります。自分が提案した事のほとんどが認められ、改善もなされるので、仕事への愛着も湧いてくるようです。これら「3つのカード」をコツコツと継続して活用することで、クリニック運営が上手くいくようになりました。

 

Q.今後のクリニックの目標、ご展望がありましたら教えて下さい。

 

A.何といっても、自分を含めスタッフが、少しでも楽しく仕事をし、人生の多くの時間を過ごす職場において自らの成長を実感し、この職場で働くことが出来てよかったと思える職場環境を作ることを目標としています。そのために、医院理念や先に述べた「3つのカード」による取り組みがあるわけですが、今後もクリニックそしてスタッフが少しずつ成長し続けていくためには、新たな取り組みを行っていく必要があると考えています。

 

それが、3S活動です。3Sとは、整理・整頓・清掃です。当院が積極的に取り組んでいる改善提案制度に3S活動を仕組み化することで、より良い職場環境作り、そして患者様のための快適な環境作りに繋がると考えています。今後は、同業だけでなく、異業種からも学びを得ながら、多くの方から「いいクリニックだね」「いい職場だね」と言って頂けるようなクリニック作りを目指していきたいです。

 

 

坂井先生、インタビューのご協力、ありがとうございました! 坂井耳鼻咽喉科様では、スタッフ様主導で実に様々な取り組みを実践されています。下記にあります坂井耳鼻咽喉科様のホームページの中の「クリニックだより」に活動の詳細が記載されていますので、こちらを読まれるだけでも勉強になります。

 

坂井耳鼻咽喉科様

愛知県春日井市西山町3-15-6 TEL.0568-86-3300

http://www.sakai-jibika.jp/ 

 

 

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連載クリニック開業を成功に導く「頼りになるスタッフ」の育て方

アンリミテッド株式会社 代表取締役
医経統合実践会 主宰・医経統合コンサルタント 

競争の激しい歯科クリニック専門のコンサルティング会社で経験と実績を積んだ後、「スタッフが院長の目指す医院や診療レベルを理解し、その実現のためにスタッフ全員で力を合わせ、院長、スタッフがキラキラと輝きながら仕事が出来る医院の創設」するためのお手伝いをさせて頂くために医経統合実践会を設立。

2011年、アンリミテッド株式会社を設立。代表取締役に就任。

3ヶ月に1度開催される通年制セミナー「医経統合実践塾」は、医院経営に対して意識の高い院長、スタッフが120名以上日本全国から集まり、自院の実践事例を共有し合う学びの場となっている。

著書に『診療所機能アップのためのクリニック・マネジメント入門―クリニックを「プロ集団」に変える33の秘訣』(医学通信社)。その他クリニック経営誌にコラム、連載掲載多数。


医経統合実践会WEBサイト:http://www.ikeitougou.jp/

著者紹介

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