「患者からのクレーム」がスタッフのストレスに・・・
多くの人にとって平日の朝は、「眠いな」「今日の仕事も大変そうだな」などと、憂鬱な気持ちになりやすいものです。当然ですが、通勤のために電車に乗っている人と、ディズニーランドに向かうために電車に乗っている人とでは、表情や声色、雰囲気が違います。
クリニックで働く院長先生やスタッフの方々は「よし! 今日も元気いっぱい働くぞ!」といった元気あふれる気持ちで仕事をスタートするよりも、「今日はどれぐらい患者さんが来るだろう。待ちくたびれた患者さんに『いつまで待たせるんだ!』などと言われなければいいな・・・」と、不安や心配を感じながらのスタートとなるほうが多いのではないでしょうか。もちろんケースによりますが、診療開始前の状態が常に「ポジティブ」であることはまれだと思われます。
患者さんにとっても、医療機関は「行きたくて行く」場所ではなく、「本当は行きたくないけど、病気を治したいから行かなければならない」という場所ですので、決して楽しい気持ちで訪れているわけではありません。そのため、「待ち時間が長い」「ちゃんと説明をしてくれない」「子供の声がうるさい」といったことが、すぐにクリニックへのクレームに繋がってしまいます。
患者さんは、院長先生にこのようなクレームを直接言うことはありません。ほとんどの場合、スタッフにぶつけ、それがスタッフの仕事へのモチベーションの低下を招いていくのです。
朝礼の導入でスタッフの結束力を高める
前置きが長くなりましたが、医療機関で働くスタッフは「マイナスな感情」に陥りやすい環境に置かれているからこそ、「モチベーションが上がる取り組み」が大切です。そのひとつとしてぜひ取り入れていただきたいのが「朝礼」です。
ここからは、クリニックに朝礼を導入する具体的な流れをご紹介します。
1.「朝礼の意味」をスタッフにしっかりと伝える
院長先生が突然スタッフ達に「明日から朝礼をやろう!」と言ったら、それこそスタッフのモチベーションは急降下です。「ただでさえ、朝が早いのに何で余計なことを増やすんですか!」と、大きな反発を受けるかも知れません。
前回の連載でご紹介した「医院理念の周知」、そして今回ご紹介する「朝礼」と、すべての取り組みに言えることですが、何事も「なぜ、それをやるのか」「それをやることで、どんな良いことがあるのか」ということをスタッフに伝え、まずは理解を得ることが大切です。
2.朝礼の具体的な内容
筆者のクライアント様が朝礼で実施している取り組みの例に、下記のものがあります。
●「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」「かしこまりました」「お大事にどうぞ」などの挨拶の練習
●医院理念の唱和
●担当スタッフによる「今日の目標」「昨日の仕事で嬉しかったこと」などのスピーチ
●スタッフによる「今日の診療で注意すること」「今後の医院の予定」などの伝達事項
●院長先生による一言
ちなみに、少々ハイレベルな取り組みかもしれませんが、あるクリニックでは、朝礼の終わりに院長先生とスタッフが全員でハイタッチをします(下記写真参照)。
そして、終礼時には全員と握手をします。これは「診療開始前」と「診療終了後」という、いわゆる「最初と最後」をポジティブな感情で締めくくるためです。
スポーツの試合開始前に、円陣を組んで声を掛け合いますが、それと同じ効果を期待しての取り組みです。もちろんこの取り組みだけではありませんが、このクリニックでは大手企業が実施する組織力診断でも上位に位置するほど、強い結束力があります。
結果を出すためには、ひとつひとつの取り組みが大切です。ぜひ今後、朝礼を実施してみて下さい。