売り手と買い手の交渉の際には、バランスが必要です。強欲になったり、過剰な駆け引きを繰り返せば、破談になってしまいます。ここでは、お互いの折り合いをつけるべき点について、具体的な数字を挙げながらご説明します。

買い手の希望も聞き、落としどころの金額を探る

前項までは、売り手の都合から見た話です。

もちろん、買い手としては売り手の会社に魅力を感じてなんとか手に入れたいと思っているわけですが、どうせ買うのなら客観性のある範囲で「少しでも安く買いたい」と考えるのが当然でしょう。

 

一般的なケースでいえば、買い手は幅をもたせた買収金額の下限をまずぶつけてきます。

下記の図の交渉例では、当初売り手の30億円と買い手の15億円という数字には大きな開きがあり、一見すると交渉の余地がなさそうです。ですが、双方があらかじめ設定していたレンジの中であれば、交渉の余地があるということです。

 

 

そして両者が金額的に折り合い、例えば19億円という金額に双方納得がいけば、基本合意へと進んでいきます。

もし、売り手が金額面では「60対40」などとやや自分の言い分を通した場合、その他の面で買い手の言い分を立てるなどして、両者の主張のバランスを取ります。

駆け引きに走りすぎれば失敗の元に

もちろん、お互いの希望金額に開きがありすぎたりして破談になることもあります。そのときは、売り値を下げるなり新たな買い手を探すなりしていきます。

時にオーナー社長の中には、欲が深すぎたり駆け引きに走りすぎたりすることが原因で、失敗する例もあります。

 

交渉は大切ですが、客観性のある範囲内であれば折り合いをつけることも重要です。

 

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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