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オーストリアでも進む、太陽光発電・蓄電池等の設置
ドイツのババリアン地方から車で3時間のオーストリアは、人口約880万人。お隣のドイツはオーストリアの人口の10倍近くあり、再生可能エネルギー普及事情も隣国であるオーストリアとは異なります。ドイツは現在、原子力発電所を8基持っていますが、オーストリアはもともと原子力発電所を持ちません。アルプスのふもとで、水が豊富な地域であるため、エネルギーとして普及しているのは水力発電です。また、オーストリアでは電力と熱をあわせたエネルギーの7割を、再生可能エネルギーで作り出しています。
オーストリアで、太陽光発電や蓄電池、ヒートポンプなどの施工を手がけるH2Eのトーマス・フォーファー氏に話を聞きました。
トーマス氏は、ヨーロッパで長く大規模発電所のEPCをしているIBCで、プロジェクトマネージャーを務め、中でも日本でFIT制度開始直後に産業用太陽光発電所を作るプロジェクトに当初から携わった経験を持つ、太陽光発電のプロフェッショナルです。
オーストリアでは、太陽光発電やヒートポンプなどを設置した場合、政府からの補助金が出るため、現在多くの設置依頼が来ているとのことです。
太陽光発電は、オーストリアでは住宅の屋根が大きく農家の倉庫上につけるケースも多いので、5kW以上設置するケースが多く、太陽光発電モジュールはIBC製のもので、パワーコンディショナはFronius(フロニアス)製のものを多く取り付けています。
Froniusは日本ではあまりなじみがありませんが、オーストリアに本社を持ち、従業員数4000人、研究員のラボだけでも500人を越える大企業です。ヨーロッパでのパワーコンディショナの販売台数は第二位であり、多くの施工業者が使用しています。
Froniusは、25年にわたり太陽光発電のパワーコンディショナのメーカーとして、装置側から再生可能エネルギーの普及をしています。自社ビル屋上でも605kWの太陽光発電を設置し、1日3交代制、24時間体制で生産をおこなっています。またスローガンに”24 hours of Sun”を掲げ、蓄電池はもちろんスケルトンソーラーパネルの販売や、EVカーの充電器、太陽光発電のエネルギーだけでは補えないエネルギーを水素発電機で作る仕組み、一歩進んでスマートハウスの構築やスマートタウンの構築をしています。
トーマス氏によると、オーストリアでは、太陽光発電と蓄電池の設置、自家消費型の設置が増えてきているとのことです。例えば、太陽光発電システム5.4kWと蓄電池6.4kWの工事費用は約18,000€(日本円240万)で、日本もあまり変わらない価格設定であることから、案外日本のほうが、蓄電池が早く普及する可能性があるかもしれないと思いました。
日本に感じた「自家消費型太陽光発電」普及の可能性
ドイツではメルケル首相のもと、2022年までに原発を全部廃止という目標を掲げていますが、車での移動中、ドイツ国内では、もくもくと水蒸気が上がる炉が何基も確認されました。
農地が広がる地域に突如現れる、水蒸気をあげて発電を続ける炉。またこの地域では、住民にヨウ素が配られ、人にも農作物にも放射能の影響がないとはいいきれない状況です。
ハイウェイ沿いの野立ての太陽光発電は、ほとんどが1MW以上のものであり、住宅用の利用に関しては、農家の住宅の屋根や、飼料などの保管庫の屋根などについているのを多く見かけました。
トーマス氏は、多くのお客様に太陽光発電を含め、水力、風力などの再生可能エネルギーを利用してもらい、更に多くの人にエネルギーの自家消費型のモデルを普及していきたいと考えているようです。
ドイツやオーストリアは、再生可能エネルギーの普及においては10年以上先を行く国といわれていますが、日本は国土が狭い分、地産地消で分散型の太陽光発電や蓄電池の普及はしやすいのではないかと、今回の取材で感じました。
またエネルギーを束ねるVPP(仮想発電所)事業者も、ドイツでは100以上存在すると言われていますが、日本のネットワークの融通性や住宅用の設置工事費用から、日本のほうがVPPの構築も簡単なのではないかとも思われました。
今回の取材で、ドイツやオーストリアの普及より早いペースで自家消費型の太陽光発電が広がる可能性があることに気がつき、驚いたとともに、当社においても太陽光発電の施工会社の立場から、日本の再生可能エネルギーの普及に付与できる側面がまだまだ大いにあると、決意を新たにしました。
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