税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
問題・責任を明確にする「竣工検査」の重要性
前回の続きです。
当社では基本的に、竣工の際には第三者機関による「竣工検査」を実施します。特に、EPC(設計・調達・建設)の請負人と、O&M(オペレーション&メンテナンス)業務の受託者が別会社の場合に竣工検査を行わないと、後で問題が生じた場合に、責任を誰が負うのか、それは事業者か、EPCか、O&Mかというのが曖昧になってしまいます。責任の所在を明確にするために、竣工検査は必要だと思っています。
竣工後、立ち上がり1、2ヶ月の間はかなり細かく発電所の状態や発電量をチェックします。経験した例で言いますと、連系直後にPR値(Performance Ratio)が悪く、再び現場に入って細かく検査をしたところ、使用しているケーブルが設計図面と一部違うなどの不備が発見され、対策工事の結果にPR値が回復したというケースがありました。当社では、20年間という長い期間での安定発電を目指していますので、後々になってから発電量が大きく落ちている事に気がつくというリスクを防ぐ目的で、竣工直後にPR値が予想を下回る場合には、徹底的に原因を究明します。
我々がこれまでに20件の連系をしているなかで、設備がほとんど完成に近い状態で購入したプロジェクトと、土地の権利の仕入れから自社で建設発注したプロジェクトとでは、完成間近の物件の方が技術的な問題が多い傾向にあると感じています。これは、最終的な事業者が決まらない段階で着工していると、長くオーナーとして設備を保有するという目線が工事の施主側に欠けるためだと思います。そういった物件こそ、竣工検査を含め、設備の品質チェックを実施すべきです。当社に限らず、事業主による竣工検査等へのニーズは高いと思います。
新規案件は減少、注目の中古物件には多くの問題点も…
しかし最近、新規案件の場合には太陽光発電設置に適した土地が少なくなってきていること、取得済みの設備認定で施工可能なものの相当部分は既に実現してしまっていることなどから、市場全体で新規案件の数が少なくなってきています。
今後は中古物件の売買も展望し、注目していますが、2MW程度の案件で売りに出ているものを見に行くと、設備そのものの技術的な不備や発電パフォーマンスの不調などがよく見られます。例えば、グリーン投資減税の活用を希望して太陽光発電を作ったものの、減税効果は1年目で終わり、そこから先は関心が薄れ、今年は資金が必要になったので売却したい。というような場合、ほとんどメンテナンスがされていない場合があります。そういった状態で売却希望価格が高い場合には、購入することはできません。
このような理由で見送った案件の話を後で聞くと、やはり売れていないケースがほとんどです。また、土地の使用権がきちんと登記されていないなど、権利関係の詰めが甘い案件も多くあります。
いずれ適正価格で転売される中古市場が形成されていくと思っていますが、その際には、既稼働の発電所のパフォーマンスを上げるリパワリング工事が必要になると思います。例えば、PR値が70%しかない発電所であっても、適正価格での購入が可能で、技術的な改善が可能と判断できるなら、購入後にリパワリング工事を実施し、発電パフォーマンスを改善すればよいと考えています。
ブーム後、正常化しつつある市場は今後も有望
固定価格買取制度が始まった当初は、買取価格が高額で、雨が降った後の竹の子のように建設数が多く、権利関係の確認も施工もずさんで詐欺まがいのような取引も多く見られましたし、率直に言って怪しい会社や人が多くいたのも事実です。しかし、買取価格が下がった現在では、そうした危険は前より少なくなったと感じています。以前ほどの利鞘がなくなったことで逆に、ここ1、2年の間には適正な利鞘での真面目な商売をするプレーヤーのみが業界に残ることになると思っています。以前ほどの収益性は無いにしても、市場はある意味で健全化しつつあると感じています。
当社の目標は、太陽光発電事業の事業規模は最低100MWとしていきたいと思っています。現在稼動済みで、35.7MWまで達成していますし、未稼働プロジェクト(=権利取得済で稼働前のもの)も入れると、合計60MW超となり、100MWも実現可能だと考えています。
買取価格が下がったとはいえ、世界的に低金利な中で、これほど高い利回りで安定的な運用が可能な投資対象はそうそうありません。また固定価格買取制度のおかげで、太陽光発電マーケットの市場規模は以前とは比較にならなほどの規模へと拡大しており、投資機会は安定的に見込めると思います。引き続き当社では、新規・中古の双方で合計100MWを目指し、良い物件があれば取得していきたいと考えています。
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