スリランカで注目のタクシー配車アプリ「PickMe」。非効率な業界の慣習は、利用者にとっても運転手にとっても不利益を生む要因となっていますが、このアプリの登場で状況が改善されるという期待もあります。スリランカでも広がり始めた「シェアリング・エコノミー」についてお伝えしている連載の第2回です。

ICT技術の進歩でシェアリング・エコノミーは新局面に

他人と自分の資産をシェアすることは、今に始まったことではない。しかし、借り手の信用問題もあって、シェアする範囲には限度があった。資産所有者にとって、いつも使用しているわけではない資産を貸せれば、そこから収益を得られる。一方その資産を使用したい人々にとっても、購入するよりも節約になるメリットがある。

 

これまでも人々がお金を払ってシェアできるように、何台もの車を購入し道路に並べるようなシェア・ビジネスを行う企業は存在していた。しかしICT技術の進歩によって、シェアリング・エコノミーは新たな局面に入った。ICTを介して人々は直接、貸し借りすることが可能になったのだ。これでシェア・ビジネスを始めるために、何台もの車を購入するリスクがなくなった。

 

ドライバーにとっての一番のメリットは、次の乗客を見つけるために延々と廻る必要がなくなり、燃費を抑えることができる点だろう。「PickMeによってタクシーの燃費を半分に抑えることができましたが、これは更に削減できると考えています」とZulfer氏は話す。PickMeを使えば、ドライバーは現在地から最も近い乗客を見つけることができる。またそれは、急ぎの中タクシーを呼ぶ乗客にとってもメリットになる。

非効率なスリランカのタクシー業界に競争原理を・・・

Zulfer氏によれば、スリランカにはおよそ60万台ものトゥクトゥクがあり、そのうち約10万台もコロンボおよびその郊外をぐるぐる廻っている。トゥクトゥクは次の3通りのいずれかのかたちで運営されている。タクシーの停留所のすぐ側で乗客を待つパターン、どこかのタクシー会社に登録し、そのコールセンターからの依頼で乗客を乗せるパターン、そして、個人タクシーとして営業するパターンだ。

 

いずれのパターンにせよ、スリランカのトゥクトゥクにはひとつの共通点がある。それは、ドライバーは暇を持て余していて、車も十分に活用されていないという状況だ。PickMeはそんな非効率性を改善することで、タクシーの不便性を解消するとともに、そこに競争原理を導入することに挑戦している。

 

次回はICT技術が可能にしてきた資産の共有についてお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Sharing Economy – Sharing economy firm gets Rs750 million valuation three months after launch」を、翻訳・編集したものです。

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