前回はニューヨーク、マンハッタンの中古不動産市場の透明性についてお伝えしました。今回は、不動産投資成功のカギとなる賃貸市場の状況と、賃貸契約の現地事情などについて見ていきます。

空室率1%台というマンハッタンのアパート事情

Home’s不動産投資のウェブサイトによれば、東京23区の空室率は江東区が一番低く7.4%、一番高いのが千代田で36.5%です(http://toushi.homes.co.jp/owner/tokyo/)。

 

一方でマンハッタンは、不動産賃貸専門大手であるCiti-Habitats社のマーケットレポートによると、2015年8月が1.4%、9月が1.62%(http://www.citi-habitats.com/media/pdf/Citi-Habitats-September-2015-Rental-Market-Report.pdf)。

 

マンハッタンの面積は山手線の内側と同規模、都心4区(千代田区、中央区、港区、新宿区)に匹敵する広さだといわれているのですが、この差は歴然です。

 

マンハッタンの人口が約163万人、都心4区が約74万人ですから、人口密度も2倍以上だということがわかります。空室率が1.6%以下ということは、100室あるアパートの中で空室がたった1~2部屋しかないということなのです。

 

 

実際に賃貸物件を探してみるとその差を実感しますが、午前中に内覧したアパートを同日の午後に申し込んでも、すでに他の人に取られてしまっていた・・・というケースは珍しくありません。物件オーナーにとっては、とても安定した良い賃貸市場だといえるでしょう。

シンプルかつ貸主に有利なニューヨークの賃貸契約

また、契約の際にも貸主に有利な条項があります。日本の場合は、基本的に借主に有利になっているため、貸主から契約を解除したり、更新を拒否することは非常に難しく、立ち退き料を支払うことも多いようです。

 

一方ニューヨークでは、契約書にあらかじめ記しておけば、契約期間内に貸主から解約を申し出ることもできますし、更新を拒否する権利もあります。「物件を売却するから更新しない」「貸主自身、あるいはその家族、親戚に住まわせたいから更新しない」という理由で借主が引っ越しを余儀なくされるのも一般的です。

 

このような形で貸主の権利が保護されているので、売却のタイミングを逃すこともありませんし、より条件の良い貸主に貸し変えることもできます。また将来的に、セカンドハウス、リタイア後の住まい、あるいは子供が留学したときに住めるようにと考えている方にも安心です。

 

もう一つ、空室リスクを軽減するために商習慣化しているのは「退去前内覧」です。ほとんどの賃貸契約書に記載されるのですが、まだ借主が住んでいる状態でも「契約が満了する〇〇日前からは次の借り手候補の方への内覧に協力する義務がある」とされています。一般的には2ヶ月前から次の募集をかけるので、2ヶ月の間に次の借主が決まれば空室期間はゼロになります。

 

そんな条件に協力する借主はいるのだろうか? と疑問に思われるかもしれませんが、もし協力しなかった場合は最悪の場合、敷金を没収されてしまう恐れがありますし、早く次の人が決まればもう内覧に来ないので協力してくれるケースが多いです。

 

このように、シンプルかつ貸主有利な契約を結ぶことができ、結果的に圧倒的に低い空室率を保てることから、世界中の投資家がアメリカ国外に在住しながら賃貸運営をしているのがマンハッタンなのです。

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