マルタの法人所得税は最低で「5%」
前回説明したように、マルタは英語圏であることから、留学の他に、就職のために来る人もいます。マルタで盛んな産業である金融やITのほか、旅行業関連などの求人が少なくありません。もっとも、ライバルは英語を母国語とする人となるため、英語が話せることが前提です。中国語圏からマルタに移住した方で、中国語話者向けの旅行会社のカスタマーサービス、中国語話者の方が多く入学する語学学校の職員などとして就職する人がいるように、日本語を武器に、日本人の観光客の相手をする仕事などが多くの人にとって現実的な選択肢となるはずです。
また、法人所得税が最低で5%となることを利用し、ビジネスをはじめることもよい選択であるといえます。
25万ユーロ以上の国債購入が条件のひとつに
では、具体的にどのような方(ご家族)が申請できるのでしょうか?
申請の条件として、ご家族のうち、主な申請人となる方は、
●満18歳以上であること
●非EU加盟国の国民であること
●犯罪歴がないこと(無犯罪証明のご提出をお願いしております)
●個人デューデリジェンス(ご提出された書類が偽者、虚偽の内容を含むものでないこと)を通過すること
●医療保険(EUにおいて三万ユーロ以上をカバーする健康保険)をご購入されること
という、日本の方であれば大半が満たすことのできる条件の他に、
●政府の定めた要件に適合する不動産に投資(購入または賃貸)、5年以上保有すること
●同時に、25万ユーロ以上の国債を購入し、5年以上保有すること
●年間の收入が10万ユーロを超えること、あるいは保有している固定資産が50万ユーロを超えることの証明
が条件となります。
政府の定める要件として、
1.不動産の購入――後に述べる地域以外であれば32万ユーロ以上、ゴゾ島/マルタ島南部であれば27万ユーロ以上の不動産を購入
2.不動産の賃貸――後に述べる地域以外であれば1万2,000ユーロ/年以上、ゴゾ島/マルタ島南部であれば1万ユーロ/年以上の不動産の賃貸
を定めています。
その他のご家族の方は従たる申請人として、
●法律上の配偶者
●満18歳未満のお子様
●満18歳以上で、未婚で、経済的に独立していない(主に学生の方)お子様
●経済的に独立していない、主たる申請人およびその配偶者の方のご両親および祖父母
が認められています。
[図表]マルタ地図
これらの要件を満たし、審査を通過すると、半年ほどでご本人および配偶者の方、その後両親および祖父母、お子様の、合計家族四代が、マルタの居住許可を得ることができます。居住権を取得してもすぐにマルタに移住する必要はなく、規定された地域に購入した不動産であれば、現地の方などに貸し出し、賃料収入を得ることもできます。
不動産市場および、国債の現状については、次回解説します。