資金繰り表作成に必要な「11の素材」とは?
それではこれから一緒に、入出金管理をベースとした、経営に活かせる資金繰り表を作成していきましょう。資金繰り表は、「収支予定が分かればよい!」と安易に作成される事例が見受けられます。しかし、せっかく作成するなら、経営計画の立案から、実行、見直しのタイミングがみえ、即時に対応できる資金繰り表を作成したいものです。自分の会社経営に即したフォーマットを一度作成し、入力を始めていくと、その資料の活用効果には、目を見張るものがあることに気付かれることでしょう。
では、そのような資金繰り表を作るにはどのような準備が必要でしょうか。用意すべき素材は以下のとおりです。
「資金繰り表」は事業継続・拡大の最大の武器
“何のために、誰に向けて作るのか”を考えてみましょう。誰も活用しない無意味なものなら、無駄に時間を費やして作成する意味はありません。
社内の経営陣に向けては、会社の資金計画を明確にして、事業を継続・拡大するための最大の武器となり、そして社外の投資家、銀行、取引先、ときには税務署に向けては、第一義的な証拠(エビデンス)となるものが「資金繰り表」です。
なぜなら、入出金をベースに作成しているので、誰にでもシンプルに理解でき、かつ実績の数値はごまかしがきかないからです。会社の現預金の金額は、あるがままの数値と一致しているのですから、ごまかしようがありません。あるものしか数値化できないのです。
実績を基に数値化されるアベレージとしての予測数値は、特別な材料のエビデンス(たとえば、法改正にともない、その法律を遵守するためには、○年○月までに導入が絶対に必要な商材を売っている場合や、逆に○年○月以降は使用できない商材を売っている場合など)が出てこないかぎり、過剰に増減する予測を立てることのほうが難しいのです。
つまり、その時の心情や経営計画の進捗がどうであれ、実績に基づくアベレージ数値はその時々で真摯に受け止めるしかないのです。また、エビデンスのない数値予測を無理に入れようとすれば、予測が希望的であれ、悲観的であれ、資金繰り予定表が成立しなくなります。
そんな客観的で信頼度の高い、活用できる資金繰り表を作成していきましょう!
自社事業にあった資金繰り表の作成・管理が必要だが…
資金繰り表には、日繰り表で日ごとに入出金を管理していくものから、週次、5-10日管理、月次管理があります。また、業種、事業規模によって入金サイト(期間)、支払サイト(期間)が異なりますし、入金、支払の種類には、現金が多い会社もあれば、手形での受け取り・支払がある会社もあります。自社の事業にあった資金繰り表を作成し管理していくことが必要です。
[図表]誰に向けて作るのか
いずれの業種、事業規模においても必要なのは、「月次資金繰り表」です。月次の資金繰り表は、社内における資金管理に役立つだけでなく、社外の関係者に対して説明する際の資料にもなります。会計ルールに基づいて取りまとめられた決算書や月次残高試算表では資金の流れが分かりにくいですし、CF(キャッシュフロー表)は増減で表記されているので実感がつかめません。会計ソフトで資金繰り表を作成できるものもありますが、そのフォーマットは経営の見直しに資するような構成にはなっていません。
会計ソフトは日々進化し優秀なのですが、状況を実感としてつかみ、即時に経営方針の見直しに対応できるようにするためには、アナログに感じるかもしれませんが、自社の事業にあった資金繰り表を作成しておくことが重要です。