最終契約書は、中間で交わす基本合意契約に比べると文書量も取り決め項目も多くなる傾向にあります。ここでは、契約にあたって留意するべき点について説明します。

基本合意の項目に修正を加え最終契約に

デューデリジェンスが無事に終わると、いよいよ最終契約に向けた作業に入ります。

一部、売り手の資産が劣化していたなど、基本合意の内容と相違があった場合は修正して、売買価格に反映させます。

そして、最終契約においては、そのような相違が価格に反映されたうえで、双方が合意した日に設定されるということです。

 

基本合意契約と最終契約では、具体的な内容が変化することがあります。また、「(前社長の)引継ぎ期間1年」などとしか決めていなかった内容を「勤務延長の場合は双方で再協議する」など、細かいことも決めたうえで文書化します。

そのため、中間で交わす基本合意契約に比べると、最終契約書は文書量も多く、取り決める項目数も多くなる傾向にあります。

 

一般に売り手としては、基本合意の内容どおりか、やや不利な決着なら満足できる線だ、と考えておくべきでしょう。

従業員の引き抜きや競合を禁止する契約も

最終契約書には、細かな条件が付け足されるのが一般的です。その多くは買い手の事情や、リスク回避目的によるものです。

例えば、前社長(売り手のオーナー社長)が、M&A終了後に買い手企業から、かつての息のかかった従業員を引き抜かない「勧誘禁止条項」があります。

また、前社長が株式や事業の譲渡後、一定期間内に、類似の事業を行ってはならないという「競業避止条項」などが課せられます。

 

さらに、最終契約書では、売り手と買い手の双方が、それぞれ開示した情報や内容が事実であることを宣言し、相手方に保証をすることが一般的です。これを「表明保証」といいます。

 

最終契約書の作成にあたっては、アドバイザーはもちろん、顧問弁護士など法律の専門家にもよく確認をしてもらい、不備や自社に不利な条文はないかなどよく確認してください。

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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