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ノベル版『女騎士、経理になる。』~第3章その⑰

幻冬舎コミックス運営のWEBマンガ雑誌「デンシバーズ」と幻冬舎ゴールドオンラインによる特別コラボ企画。デンシバーズの好評連載『女騎士、経理になる。』の原作小説で、2016年6月24日に発売された単行本『女騎士、経理になる。①鋳造された自由』のプロローグと第1章、第2章、第3章を無料公開します。今回は第3章「リテラシー」その⑰です。

黒エルフ「話を戻しましょう。この活版印刷機の場合は、5千冊という耐用生産数が分かっていて、1冊あたりの原価を計算することができた。こうやって減価償却費を計算する方法を『生産高比例法』と呼ぶわ」

 

司祭補「他の計算方法もありますの?」

 

黒エルフ「定額法や定率法という方法があるけど、今は説明しないわね。……今回の説明で重要なところは、『減価償却費は現金が減らない費用だ』ということね」

 

ドワーフ「現金が減らない? 費用なのに?」

 

黒エルフ「ええ。さっきの仕訳を見て? PLに減価償却費を計上しているけど、現金は減らしていない。代わりに機械装置を減らしているわ」

 

カキカキ……

 

 

黒エルフ「固定資産というのは、いわば現金を『先払い』しているようなものなの。まとめるとこんな感じね。普通の費用だったら、現金を支払った時点ですぐに費用にしてしまう。けれど、減価償却費は違うわ。現金を一度『機械装置』等の他のものに置き換えて、それを費用に変えていく……ってわけ」

 

 

女騎士「説明はこれくらいにしよう。正しい帳簿の付け方に従って、先月のBSとPLを修正してみるのだ!」

 

黒エルフ「そうするべきね」
ドワーフ「うーむ、銀行から来たお前たちが……?」チラッ

 

司祭補「試してみて損はないと思いますわ♪」
ドワーフ「司祭補さまがそうおっしゃるなら……頼んでみようかね」

 

黒エルフ「まずPLを修正すると、先々月の製造原価が大幅に安くなるわね。それから、先月には『減価償却費』が計上されるわ」

 

ドワーフ「先々月の大幅赤字が無くなって、代わりに先月の利益が少し減る……ということだな」

 

司祭補「正しい利益の金額になるのですわね」
黒エルフ「続いてBSだけど……現金の残高は変わらないわ」

 

ドワーフ「減価償却費は現金の減らない費用だから、だな?」
黒エルフ「その通り」

 

女騎士「あとは、固定資産に『機械装置』が計上されるはずだ」

 

カキカキ……

 

黒エルフ「ここまでの話をまとめると、先月のBSとPLはこんな感じに修正されるわ」

 

 

ドワーフ「減価償却費で利益が圧縮されるが、現金残高は変わらず、機械装置が計上される、と……」

 

司祭補「純資産の金額も修正されていますわね。これは?」

 

黒エルフ「じつはかなり重要な部分だけど、純資産の詳しい説明はまた別の機会にするわ。今回は『固定資産』と『減価償却』だけ覚えてほしいわね」

 

女騎士「ふむ、修正後のPLでは利益が減るのか。ならば──」

司祭補「どうなさいまして?」

 

女騎士「思いついたぞ! この工房を苦境から救う方法を!」

 

ドワーフ「あんたらの銀行からカネを借りる以外の方法で?」
女騎士「ああ。この正しい帳簿があれば、帝都銀行を説得できるはずだ!」

 

黒エルフ「ちょっと待って。あんたが何を考えているか想像ついたわ。でも、そんなに上手くいくとは思えないんだけど……」

 

司祭補「とはいえ、何もしなければ状況は好転しませんわ」

 

女騎士「試してみる価値はあるだろう。今すぐ戻れば、今夜には港町に着ける。明日、帝都銀行の支店に乗り込むのだ!」

連載特別コラボ特別企画――『デンシバーズ』発の異色人気ノベルを無料公開!

 

女騎士、経理になる。 ①鋳造された自由

女騎士、経理になる。 ①鋳造された自由

原作:Rootport,イラスト:こちも

幻冬舎コミックス

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