今回は、売りたくても売れない田舎の土地にありがちな問題等について見ていきます。※本連載は、株式会社マエダハウジング、株式会社マエダハウジング不動産の代表取締役・前田政登己氏の著書、『「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法』(株式会社ザメディアジョン)より一部を抜粋し、空き家の具体的な活用法を紹介します。

売れない土地は寄付、相続放棄という手もあるが…

需要の少ない田舎の土地を所有している場合でも、所有する限りはずっと固定資産税が発生し続けます。売りたいけれど売れない、でも不動産は所有権を放棄することはできませんから、処分したければ寄付をするのも一つの方法です。対象としては自治体や個人、法人、自治会や町内会などが考えられます。

 

しかし、寄付もなかなか簡単にいくものではありません。自治体は、使う目的がなければ土地の寄付を受け入れることはしません。寄付された土地は固定資産税が非課税となり、貴重な財源である固定資産税が徴収できなくなるのに、寄付された土地の管理コストだけが増えるというようなことは避けたいからです。

 

個人への寄付を考えた場合、最も可能性が高いのが隣地の所有者です。他人の隣地を自分の土地に含めることができるためですが、寄付にあたっては贈与税が課税されます。ただし、基礎控除が110万円あるため、土地評価額が110万円以下なら無税となります。土地の所有権移転においては登記費用がかかるので、贈与税と登記費用を寄付相手に了承してもらう必要もあります。

 

寄付もできないとなれば、「いっそのこと相続放棄してしまいたい」と考える人もいるでしょうが、すでに相続が終わった後で不要な不動産だけを放棄することはできません。これから相続する場合も、相続放棄で土地を処分するには、相続人全員がすべての遺産の相続放棄をしなくてはならないため、これも現実的とはいえず、難しいところです。

貸し手にも借り手にもにメリットがある「定期借地権」

借地権とは、建物を建てるために他の人の土地を借りる権利のことです。大きく分けて「旧借地権」「普通借地権」「定期借地権」の3つがあります。

 

「旧借地権」とは、借地期間を満了しても、地主側に明けわたししてもらうための正当な理由がない限り更新されるものです。これは、土地も家も持たない人が多くいた時代に、土地を借りたままの人に対して正当な理由がない限り、地主側が立ち退きを強制できないようにするものでした。しかし、これでは相続時に困るため、1992年に制定された借地借家法で「普通借地権」と「定期借地権」が新設されました。

 

「普通借地権」では、当初の借地期間が30年以上、1回目の更新が20年以上、2回目以降の更新は10年以上となっていて、借地人が望めば契約は更新されます。「普通借地権」には地上権と貸借権があり、地上権であればその土地の上の建物を自由に売却や賃貸に出すことが可能。借地権付きのマンションの場合、その多くが地上権となっていますが、戸建てではほとんどが貸借権であるため、売却や賃貸に出すには地主の許可が必要になります。

 

「定期借地権」は、期間満了後に土地を更地にして地主に返還するものです。一般定期借地権では50年以上とするのが一般的。地主側が更新しないといえば、建物を壊して更地にして返さなければなりません。土地は自分のものにならないので、抵抗のある人が多いかもしれませんが、土地の所有権付き物件の60〜80%という価格の安さは大きな魅力です。

 

土地を借りてマイホームを建てる形になるため、契約期間中は住宅ローンとは別に地代を支払い続けることになります。しかし不動産取得税や登記費用などの諸費用もいらないので、購入時の諸費用を抑えることができます。戸建てと同様に、定期借地権付きマンションもあります。

「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法

「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法

前田 政登己

ザメディアジョン

空き家の相続、管理、売却がわからず費用や時間がかかるばかりの「困った空き家」。 人口減少社会の「生きた資産」として再活用する20の方法を紹介します。

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