「管理費」と「修繕積立金」の違いとは?
⑴管理費等とは
標準管理規約21条では、「敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする」と定められています。管理組合には、敷地および共用部分の管理を行うことが求められ、その目的の達成のために、区分所有者から管理費等を徴収します。
管理費、修繕積立金について、区分所有法は定義を定めていませんが、管理費とは一般に、共用部分、敷地、附属施設の維持管理費用や管理組合の運営費用など、管理組合がするマンションの管理全般に使われる費用をいい、修繕積立金は、将来行われる計画的修繕や災害などの緊急の場合の修繕などに備えるために積み立てられる金銭をいいます。
管理費、修繕積立金、専用使用料など、管理組合が区分所有者に請求し、月々定期的に徴収する金銭のことをあわせて「管理費等」と呼ぶことがあります。
管理費の総額は、1年間に発生する管理委託費、保険料、電気代、ガス代等の合算金額です。それを専有部分の床面積の割合に応じて月額に計算したものが、一般的な部屋別月額管理費となります。修繕積立金は、長期修繕計画書(25年以上の計画書)に基づいて計算された工事金額合計を1年単位に割り、さらに専有部分の床面積の割合に応じて月額に計算したものが一般的な部屋別月額修繕積立金となります。
区分所有法19条は、「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」と定めており、区分所有者である限り、当然に管理費支払義務を負うことになります。
⑵ 管理費等の区分けと使途
管理組合の会計は、日常の建物の維持管理およびその他日常的な諸経費を賄うための「管理費会計」(委託業務費、損害保険料、公租公課等)と、建物修繕のための計画的・将来的な支出に備えた、いわば貯金のような「修繕積立金会計」(大規模修繕工事費、エレベーター改修費等)の2種類に分かれています。
この区分は、標準管理規約25条に明記されています。
非営利会計に準じて会計処理
⑶管理組合会計の種類
会計の種類は、一般的に営利会計と非営利会計に分かれます。営利を目的とする団体の代表である株式会社などは、企業会計で会計処理をしています。マンション管理組合の場合、営利を目的とする団体ではないので、非営利会計に準じて会計処理をすることになります。
⑷管理組合会計の内容
マンション会計業務の主な内容は、次のようなものです。
①短期、中期、長期の事業計画と予算化の立案
②会計帳簿の作成、収支状況(月次)の確認
③決算案の作成と報告
④収益事業がある場合は、諸税の申告と納付
⑤出納業務
⑥滞納者督促
⑦監査を受ける
⑸管理組合会計報告の基準
管理組合会計報告は、一般原則として次の4点が基準となります。
①予算準拠主義の原則 予算に基づき収入、支出は行う。
②複式簿記の原則
③真実性・明瞭性の原則 財産状況は真実の内容を明瞭に表示する。
④継続性の原則 計算書類の表示方法は、継続して行い、みだりに変更しない。
⑹計算書類の種類
管理組合会計の計算書類は、次の計算書類を作成することが望ましいとされています。
①収支計算書
②貸借対照表
③財産目録
④支払明細書
⑺会計処理の方法
管理組合会計処理の方法では、現金主義(費用・収益の認識を現金の収支で認識する損益計算方式)ではなく、発生主義(費用・収益の認識を現金収支にとらわれず、合理的期間の帰属を通じて反映させる損益計算方式)で行うことを原則としています。すべての費用および収益はその支出および収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく反映するように処理することが必要です。