今回は、「販売までの流れ」から都市ガス会社の株価を読み解くポイントを見ていきます。※本連載は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニアアナリスト・荻野零児氏の著書、『よくわかるエネルギー株』(化学工業日報社)より一部を抜粋し、エネルギー会社の株価の基本的な見方をご紹介します。

都市ガス事業は「四つ」に分かれる

都市ガス会社の中核事業は、LNG(液化天然ガス)を輸入して、天然ガスを供給することです。主な都市ガス会社は、東京ガス(9531)や大阪ガス(9532)です。

 

(1)都市ガス会社の事業概要

 

都市ガス事業は、都市ガスの導管(パイプライン)を通じて、需要家に天然ガスを販売する事業です。図表1は、LNG(液化天然ガス)の輸入から、都市ガスの需要家への販売までの都市ガスの流れを示しています。

 

都市ガス事業は、『LNG輸入事業』、『LNG受入基地事業』、『都市ガス導管事業』、『都市ガス小売事業』の四つに分かれます。

 

[図表1]

出所:東京ガスホームページより掲載。
出所:東京ガスホームページより掲載。

 

<LNG輸入>

 

LNG輸入事業は、天然ガスをLNGタンカーで輸入する事業です。天然ガスは、マイナス162度に冷却すると、液体になります。天然ガスの液体の体積は、気体の体積に比べて、約600分の1になります。これをLNGタンカーで海外から輸入します。天然ガスの主成分はメタンです。米国のシェールガスも天然ガスの1種類です。

 

<LNG受入基地>

 

LNG受入基地には、LNGの受入設備、LNGタンク、気化設備などがあります。LNGタンカーから、LNGを基地に荷揚げして、基地のLNGタンクに貯蔵します。天然ガスを送るときには、気化設備で、LNGを液体から気体に転換して、熱量など品質を整えて、都市ガスとして都市ガス導管(パイプライン)に送出します。

都市ガス販売シェアの37%を占める東京ガス

<都市ガス導管(パイプライン)>

 

都市ガス導管(パイプライン)事業は、都市ガス導管を建設・運営する事業です。都市ガス導管には、大量の輸送をするための高圧ガス導管や、家庭1軒1軒につながっている配管まであります。

 

2017年度に予定されている都市ガスの小売全面自由化後も、日本政府は都市ガス導管事業への規制を残す予定です(電力事業の送配電事業にも日本政府による規制が残っています)。

 

<都市ガスの小売事業>

 

都市ガスの小売事業は、都市ガスを調達して、家庭や工場などの需要家に都市ガスを小売する事業です。日本都市ガス協会によると、2015年度末の都市ガスの需要家数は全国合計2,998万戸です。用途別の内訳は、家庭用2,834万戸、商業用127万戸、工業用6万戸、その他31万戸です。

 

<都市ガス会社の販売シェア>

 

図表2は、都市ガス会社の2015年度のガス販売量シェアを示しています。2015年度の都市ガスの販売量の全国合計は3.6億m3(立方メートル)〔41.8605MJ(メガージュル)/m3 換算〕。

 

2015年度の都市ガス会社(公営を含む)の数は、全国合計206でした。そのなかで、都市ガス会社4社で全体のシェアの約4分の3を占めています。都市ガスの販売シェアが高い順番にみると、東京ガスが37%、大阪ガスが23%、東邦ガスが11%です。

 

[図表2]都市ガス会社の都市ガス販売量シェア

出所:日本ガス協会の資料に基づきMUMSS作成。 注:2015 年度。
出所:日本ガス協会の資料に基づきMUMSS作成。
注:2015 年度。
よくわかるエネルギー株 業界の特長から主要銘柄の見方まで

よくわかるエネルギー株 業界の特長から主要銘柄の見方まで

荻野 零児

化学工業日報社

本書は、エネルギー(石油・電気・都市ガス・LPガスなど)業界のアナリストとして長年活躍されている三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荻野零児氏がエネルギー業界に興味のある初心者から一般投資家へ向けて、エネルギー会社…

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