かけだし信金マン・和久井健太の活躍を通して「お金の増やし方」を学ぶ本連載。今回は、その第13回です。※本連載は、銀行の元支店長で現在は実業家として活躍する菅井敏之氏の著書、『読むだけでお金の増やし方が身につく 京都かけだし信金マンの事件簿』(アスコム)の中から一部を抜粋し、お金の増やし方について、かけだし信金マン・和久井健太の活躍を通して見ていきましょう。

<登場人物紹介>

・和久井健太(わくい・けんた)
京都にある洛中信用金庫に就職。入社三年目を迎え、北大路支店の営業部に配属されるも、引っ込み思案がわざわいして、苦戦。最近自分がこの仕事に向いているのか悩んでいる。

 

「あのね、こうしようじゃないの」

 

「はあ」

 

「その二千万をね、洛中信用金庫に移しちゃいましょう」

 

「え、なんで」

 

「それで、六千万借りちゃう」

 

なんだって! と和久井は思った。勝手なことを言われても困る。それともこの男、洛中信金(うち)のお偉方と知り合いなんだろうか。

 

「あの・・・」と和久井が口を挟もうとした時、

 

「借りられるの?六千万も?」と女主人が話を進めた。

 

「ああ、大丈夫だ。それで、その六千万でね、そうその六千万で――」

 

「ジャズクラブをオープン!」

 

女主人は思わず言った。

「その金でアパート建てましょうや」

オヤジは顔の前で手を振った。

 

「駄目」

 

「え、あかんの?」

 

「ああ、それは無理」

 

「なんで? 六千万もあったら、機材とか入れても、できるのちゃう?」

 

「金貸しは店舗物件は嫌がるんだよ」

 

このオヤジ、どうして知っているのだろう。

 

「その金でアパート建てましょうや」

 

うん、アパートなら話は別だ、と和久井は思った。

 

「京都は大学が多いから、学生ですぐいっぱいになるよ」

 

「ほんま?」

 

女主人は、なぜか和久井を見た。まだ学生っぽいからだろうか。

 

「ええ」なんて、和久井もうなずいてしまった。

 

「その金でまず将来の不安をなくして、それでもう一度ジャズを勉強して、日本のサラ・ボーンになるってのはどうかな」

 

「そんなことできんの?」

 

「うーん」

 

「なんや、でけへんこと言わんといて」

 

「サラ・ボーンになるところまでは、ちょっと……」

 

「ふん。ほな、アパート建てて、安定収入ってところまででええわ」

 

「それは大丈夫」

 

「ほんま?」

 

女主人の顔が明るくなってきた。

 

「ああ、保証するよ。それで、ここは大家と相談して転貸ししちゃいましょうや。場所は悪くないんだから、飲食業の借り手はありますよ、味さえまともなら」

 

「そんなにまずかったん?」

 

オヤジはうなずいた。

 

「さっさと家賃収入に切り替えてくださいな」

 

女主人は、ぽかんとした顔をしている。

 

「まさか、人のこと担いでるんとちゃうやろね」

 

「ご心配なさるな、こいつがちゃんとやりますよ」

 

いきなり肩を叩かれた。びっくりして、思わず和久井は男の顔を見た。

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