意外に多い経費の「科目」
「社長、このシャネルのバッグの領収書、交際費でいいんですか?」
「あっ、それねぇ、よく通っているお店の忘年会でビンゴ大会があって、その景品として出したんだよ」
「じゃあ、福利厚生費ですかね。どうせS課長とかWさんと行ったんでしょ」
「いや、ビンゴ大会のとき会社名と私の名前をマイクでいってくれたから、広告宣伝費じゃないかなぁ・・・たぶん」
「その割に高すぎません?これって減価償却できるんですかね・・・」
「さぁ、税理士の先生に聞いてみてよ。あはは・・・」
「同じ日付のシティホテルの宿泊代、これは旅費交通費でいいんですね」
「あぁー、よ、よろしく頼むよ」
会話の中に交際費、福利厚生費、広告宣伝費・・・。経費の「科目」が次々に登場しました。「お金をかける節税法」と「税額を減らす節税法」は、節税のノウハウの王道。業種や企業の特性に合わせた方法で、ちょっとした工夫でさまざまな節税が可能になります。経費を増やせば増やすほど利益は減少して、税金の額は減っていくわけですが、その際に重要なのが、この科目なのです。
税金の科目には、あらかじめ定められた「交際費」とか「福利厚生費」といった使い道のカテゴリーがあります。さらに、その業種に合った特殊な科目を作ることもできるのです。たとえば、出版社や新聞社などのマスコミの場合には「取材費」という科目を作って、損金に計上することが可能です。
同じ科目も、節税目的によって「異なる経費」に
この科目を大きく分類すると、先にも紹介したように「社長自身や会社に資産として残せるもの」、そして「役員や従業員のために使うもの」という2つのカテゴリーに分けることができます。中小企業の経営者にとっては、常にこのどちらかに振り分ける、という思考回路ができてしまっているかもしれません。
そういう意味では、同じ科目であっても、その節税目的によって、まったく異なる経費になるということです。たとえば、損益計算のベースになる科目でも「売上原価」や「期末商品棚卸高」といった部分はなかなか動かすことができませんが、販売管理費に入る「交際費」とか「福利厚生費」「広告宣伝費」といった項目は、大きく拡大解釈が可能になる科目ともいえます。