コア人材となる中国人を発掘する「指示回数チェック」の手法

今回は、コア人材となる中国人を発掘するための「指示回数チェック」という手法をご紹介します。※本連載では、中国に進出する日本企業支援などに携わってきた、吉村章氏の著書『中国とビジネスをするための鉄則55』(アルク)の中から一部を抜粋し、仕事において「信頼できる中国人」の探し方を実践的に紹介していきます。

やってほしいことは「一から十まで」伝える

Q.「信頼できる中国人」と「危ない中国人」を見極める方法を教えてください。(2)本人の自主性をチェックするには?

 

A.二つ目は「指示回数チェック」という方法。仕事のパフォーマンス、仕事に取り組む姿勢をこの方法で確かめます。

 

前回に続き、二つ目の方法は「指示回数チェック」という方法です。部下に仕事の指示をするときやコア人材の発掘、対外的には仕事を依頼するときや業務の進行状況を確認するときに使ってみてください。社内でも社外でも応用が可能です。

 

たとえば、部下に仕事の指示をします。最初の仕事のときには仕事の内容をできるだけ詳しく説明し、細かな指示を出します。やってほしい仕事の内容について、その段取りから仕事の進め方について、注意点について、最終的な目標について、できるだけ細かく指示を与えます。

 

やるべき事柄を一つずつ手取り足取りの要領で事細かに指示を与えます。「ここまで言えば、後は言わなくても分かってくれるだろう」とか、「その先は自分で考えて」と考えるのは危険です。やってほしいことは一から十まできちんと伝えることが基本です。できれば口頭だけではなく、文書(指示書や作業手順書)にすることをお勧めします。

 

そして、二回目の仕事のときは、指示の内容を若干省略します。一から十ではなく、七か八ぐらいの指示の仕方できちんと動いてくれるかどうかをチェックします。事細かに指示を出さなくても動けるかどうかがチェックポイントです。

 

さらに、三回目の仕事のときは、五か六の指示できちんと動いてくれるかどうかをチェック。つまり、指示の内容や回数を減らしてもきちんと動いてくれるとしたら合格です。最終的には事細かな指示を出さなくてもきちんと動いてくれるようになれば理想的です。

 

もし、指示をするたびに一から十まで毎回事細かに説明をしなければいけないようであれば、コア人材候補者としては失格です。または指示以外のことまで自分で勝手に判断し、動いてしまうようであればそれもコア人材候補者として失格です。

「言うべきことはっきりと言うこと」が基本に

伝えるべきことははっきり言うこと、言うべきことははっきり言うこと、これは中国人とのコミュニケーションの基本です。コミュニケーションギャップが起こる原因の一つに、日本側が「言うべきことをきちんと伝えていない」ということがよくあります。

 

仕事の指示をするときに「ここまで言えば、あとは言わなくても分かってくれるだろう」「その先は自分で考えて」と考える日本人がいます。しかし、それではきちんとした指示を与えたことになりません。

 

時には「そんなことまでいちいち言わないといけないのか」「言わないと分からないようではダメだ」と考える日本人がいます。中国人に対して「察しが悪い」「気が利かない」「要領が悪い」と言って中国人にネガティブなイメージを持つ人も少なくないようです。

 

しかし、これは多くの場合、気が利かない中国側の問題ではなく、仕事の指示をきちんと伝えていない日本側の問題です。相手にきちんと言わないから分からないのです。つまり、言えばいいのです。きちんと言えば、その通りにきちんと仕事をこなしてくれるのが中国人の特徴です。

 

価値観や考え方が違う相手に「以心伝心」や「阿吽の呼吸」のコミュニケーションは期待できません。言うべきことははっきり伝えること、やってほしいことは明確に指示をすること、これがコミュニケーションの基本です。当たり前のことですが、実はできていないことが多いようです。

 

日本人同士では空気を読んだり、場の雰囲気を感じたりするスタイルでコミュニケーションが成り立ちます。空気を読めない人や場の雰囲気を感じられない人は「察しが悪い」とか「気が利かない」と言われてダメな人扱いされます。

 

実は、中国人が空気を読んだり、場の雰囲気を感じたりすることができないわけではないのです。中国にも察しがいい人や気が利く人はいくらでもいます。私の友人も場の空気に合わせてとても気配りができる人です。一言声を掛けるだけでしっかり動いてくれる人もいます。こちらが何も言わなくてもしっかり仕事の提案を持ってきてくれる優秀な中国人もいます。

 

まずは「言うべきことはっきりと伝えること」がコミュニケーションの基本です。その上で指示の仕方、指示の内容、指示の回数を徐々に減らすことで相手の対応をチェックしてみてください。信頼できる相手かどうかの見極めは、こうした日々のコミュニケーションの中で実践していくことが鍵になります。

ASIA-NET 代表
株式会社クロスコスモス 代表取締役
TCA東京事務所 駐日代表 

1961年生まれ。87年から台湾でビジネスマン向けの日本語教育に携わり、96年台湾最大のIT関連業界団体、Taipei Computer Association(TCA)へ移籍。同年、駐日代表として帰国。2001年からは中国に進出する日本企業支援が業務の柱となり、現在に至る。中国への出張者・赴任者向けの異文化研修や地方自治体向けの海外市場開拓セミナーの講師を務めるなど幅広く活動。『知識ゼロからの中国ビジネス入門』(幻冬舎)、『中国人とうまくつきあう実践テクニック』(総合法令出版)など著書多数。ASIA-NET代表、株式会社クロスコスモス代表取締役、TCA東京事務所駐日代表。

http://www.asia-net.biz

著者紹介

連載信頼できる「中国人ビジネスパートナー」の探し方

本連載は、2017年3月15日刊行の書籍『中国とビジネスをするための鉄則55』から抜粋したものです。稀に、その後の社会情勢等、最新の内容に一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

中国とビジネスをするための 鉄則55

中国とビジネスをするための 鉄則55

吉村 卓

アルク

海外ビジネスにかかわる人が知っておきたい情報をQ&A形式で簡潔にまとめる国別ビジネスガイドの第5弾。 これまでの4冊と異なり、仕事における人間関係に重点を置きました。これから中国ビジネスに携わる人だけでなく、すでに…

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