当初はLTV(貸出残高/担保評価額)比を70%に制限
国債発行を抑え、通貨の浮揚を目指しつつ、ここ数ヶ月、当局は貿易と与信をコントロールしようとしてきた。自動車に対する貿易調整は、かつて国際収支が悪化した後にとられたのと同じように、信用状に対する100%証拠金を課すという形でとられた。
中央の経済政策のもとでの暫定的な規制に追従する形で、自動車購入のための与信を制限するために、当初LTVマージンは70パーセントに減らされた。これによってしわ寄せを受けたとする、中古自動車へ貸付をする金融業者の声に押される形で、制限は後に90パーセントにまで緩和された。
LTV比を減らしたことは、担保保障の点で打算的な意味も含まれていた。つまり銀行はキャッシュフロー・ベースに基づく無担保融資を迫られることになる。給与の上がる国家公務員にたいする貸付は、銀行にとってうまみのあるものになると、専門家は言う。
後手後手に回るスリランカの金融政策
紙幣を刷ったり、与信枠を広げてから、政治家や官僚が「そぐわない」「優先順位が低い」などと考える特定分野で規制を強めたりすることは政府の計画的な戦術であり、すべての結果を見てから、市民のお金の使い方に対して後出しで批判するようなものである。
9月の自動車登録の増加は、市場参加者が特定の規制を打ち破ろうとして、あるいは、さらなる規制や通貨下落を予測にたったアナウンス効果であるかもしれない。7月には自動車の需要が低下するとの徴候があった。
第三世界や新興市場での中央銀行は通常、住宅や商業用不動産、あるいは金利調整が遅れたことで発生したバブル下のクレジット・サイクルの渦中にある分野で、規制を加えようとするものだ。同じく金融当局がお金を大量に供給しバブルを発生させた苦い教訓を持つ「自由国家」では、暫定的かつ限定的な規制や倫理的な勧告は意味がないとして放棄された。
これまでスリランカでは、当局の規制は洗濯機などの労力節約装置や石油などの配給品といったいわゆる「高級品」に対して行われた。これまで当局は、与信と消費を拡大するためにお金を供給してから、国際収支の問題から石油の輸入に苦情を言っていた。