「マルチ・スズキ」を中心に自動車輸入が増加
当局による与信と輸入に対するコントロールによって、2015年9月のスリランカの車両登録がこれまでで最高の63,687台となった。そのうち自動車の登録は8月の9,107台から14,301台に急増した。
インド圏での生産販売を手がける「マルチ・スズキ」の勢いが特に目立っており、1月では1,363台だったのが8月には4,259台に、そして9月では7,789台の登録があったことがコロンボのJB証券がまとめたスリランカ車両登録データで明らかになった。
ハイブッリド車の増加も目立ち、1月に4,320台のピークを迎えた後は振るわなかったのが、9月には5,049台の登録になった。これも1月では8台しかなかったスズキ・ワゴンRが1,637台に増加したことが貢献した。
スリランカでもっとも売られているアルト(Maruti Alto)は8月の3,647台から7,337台への増加となっている。主に富裕層が乗るハイブリッド車はコロンボ中心部でよく見かけるが、マルチ・スズキの車は郊外や休日に見ることが多い。
公務員給与の増加が直接の原因か?
JB証券によればマルチ・スズキの車が増加した背景には、急遽、給料が増えた国家公務員による購入があるという。公務員給与の増加で悪化した財政赤字のために、中央銀行が金融引き締めを取れなかった結果、スリランカの消費面では与信と輸入が増加している。一方で中央銀行は金利を下げつつ、紙幣を増刷して国際収支バランスを悪化させた。
債券市場からの資本逃避を招いた4月の政策金利の引き下げは、当面の基金を積み立てるために許容量を超えてまで銀行に融資をさせようと、一定の流動性を流し込み続けるためだと、専門家は分析する。そして自動車の輸入拡大は、政府および民間クレジットが拡大している、明白な徴候である。