▼帝都郊外、兵器試験場
大砲 ドンッ! ドンドンッ!!
ショタ王「おおっ! 見たか、大臣! あの距離の的を射貫いたぞ!」
財務大臣「国王陛下は大砲がお好きでございますね」
ショタ王「なんだその言い方は。まるでおもちゃに喜ぶ子供をあやすようではないか? ぼくは王さまだぞ!」
財務大臣「これはとんだ失礼を……」
ショタ王「まあよい。あれが新しい戦艦に積まれる大砲なのだな?」
武器商「さようでございます。人間国の最新兵器です」
大砲職人「砲身の内側に施条(ライフリング)を施してあります。それが弾丸に回転運動を与え、長射程でも精度が落ちないのです」
ショタ王「すごい、すごいぞ!」
海軍元帥「あの大砲なら、シーサーペントを船に近づかせることなく撃退できるでしょう」
陸軍元帥「それだけではありません。巨人の投擲する石が届かない距離から陸地を砲撃できます」
ショタ王「うむ、すばらしい大砲だ!」
武器商「そのぶんお値段はかさみますが……」
ショタ王「かまわん!」
武器商「お気に召していただけて光栄です。では、増産をかけるよう申しつけます」
ショタ王「楽しみにしているぞ!」キラキラ
武器商(フフフ……。財務大臣さま、ありがとうございました)
財務大臣(大したことではない)
武器商(いえいえ、大臣さまのお口添えのおかげで儲けさせてもらいました。国王陛下にも新型の大砲を喜んでいただけたようですね)
財務大臣(陛下も男の子でいらっしゃる。剣や大砲はお好きなのだ。……それより、分かっているだろうな?)
武器商(もちろんですとも! キックバックの件ですね。国王陛下にご紹介いただいたご恩には、たっぷりお礼いたしますよ)
財務大臣(うむ、そちらの実弾も期待しておるぞ)
武器商(しかし、武器商とは因果な商売ですよ。戦争が激しくなるほど儲かるとは)
財務大臣(心にもないことを。……戦争が長引くほど、われわれの懐は潤う。景気は好転して、民草たちにも希望を与える。いいことずくめではないか)
武器商(ハハハ、まことにおっしゃる通りでございます)
ショタ王「おーい、2人とも何を話しているのだ? 試射はまだ終わってないぞ!」
財務大臣「はい、しばしお待ちください!」
武器商(今のところは、国王陛下も戦争継続を望んでおいでのようですね)
財務大臣(当然だ。私がそのようにご助言さしあげているのだからな。何より、戦争ほど儲かる商売はないであろう?)
武器商(さようでございます。平和を叫んだところで、1Gのトクにもなりません。今の時代、戦争を通じて稼ぐことこそ賢い生き方というものでしょう)
財務大臣(フフフ……。100年続いた流血を、今さら誰に止められよう──)