業者に対して圧倒的有利な「住宅建築に関するルール」
住宅トラブルの実態はなぜこれほど社会に浸透していかないのか? それは、被害者たちが泣き寝入りするケースが圧倒的に多いからです。
高いお金を支払ったにもかかわらず、とんでもない家を建てられたとしたら、誰だって裁判してでもお金を取り戻したい、家を作り直したいと考えるでしょう。しかし裁判を起こす場合、家づくりに失敗してお金を失った状態で、さらに裁判の費用もねん出することになるのです。この現実に、みな腰が引けてしまいます。
さらに、住宅建築に関する現在のルールが、業者に対して圧倒的に有利に設定されていますので、裁判を起こしても、まず勝てません。そして結局、泣き寝入りしてしまうのです。これでは住宅トラブルに関する情報が、社会に拡散していくはずがありません。
家を建てたら、親兄弟、親友たちからこぞって祝福されます。でも、祝福してくれる周囲のひとたちに対して「でも失敗したんだよ」なんて、なかなか言えないものなのです。
「ステマ」の横行も要因のひとつ
近年はインターネットがすっかり普及しました。検索すれば大抵の情報が、誰でも手に入れられる素晴らしい時代です。しかし、住宅トラブルに関する情報だけは、なかなかはっきりとした実態が見えてきません。これは、ステルスマーケティングによる、情報のかく乱が行われているからだと思います。いわゆる「ステマ」です。
住宅業界の宣伝サイトや、建築関係者が書きこんでいるブログは数多くありますが、こうしたサイトに書かれている情報は玉石混交、真贋入り乱れた混沌状態です。
自社に対しては良い情報などを掲載し、ライバル会社に対してはネガティブな情報を書き込みます。さらに、コメント欄にも、施主を装っていろいろな書き込みをしていると考えられます。文字通り、どの情報を信じていいのか、専門家でも戸惑ってしまうほどなのです! こうした状況では、詐欺にあった被害者の声など、簡単には見つけてもらえないでしょう。
もっとも残念なのは、良心的で優れた住宅メーカーの情報も、混沌としたインターネットの中にうずもれてしまっていることです。