「顔も覚えていないのに、無理に会わせるなんてかわいそう」元妻から子どもとの面会を5年間拒絶された38歳男性が、一転して面会OKになったワケ【弁護士が解説】

「顔も覚えていないのに、無理に会わせるなんてかわいそう」元妻から子どもとの面会を5年間拒絶された38歳男性が、一転して面会OKになったワケ【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

離婚や別居に伴い、子どもと離れて暮らす親(別居親)が子どもと定期的に会うことを「面会交流」と呼びます。夫婦間の対立感情が強い場合、子どもとの面会交流をさせてもらえないという相談が多く寄せられます。今回は、同居親の不安や反対が強い場面で実施される「試行的面会交流」について、身近な事例とともにわかりやすく解説します。本稿は親子トラブルに強い弁護士の吉原崇晃氏が解説します。※プライバシー保護のため、登場人物の情報に一部変更を加えています。

「試行的面会交流」で5年ぶりにわが子と再会

試行的面会交流とは、調査官の立ち会いのもと、家庭裁判所の施設内で別居している親と子どもを面会させ、その様子を観察・調査する制度のことです。

 

実施当日、裁判所内の「児童室」にて、児童心理や発達の専門知識を持つ調査官立ち会いのもと、30分間の試行的面会が行われました。同居親であるミサコさんは、児童室の隣に設置された「観察室」に入り、マジックミラー越しに室内のやりとりを見守ります。

 

最初、慣れない部屋で緊張した表情を見せていたハルトくんでしたが、タカシさんは事前に調査官から受けていたアドバイスに従い、無理に抱きしめたり大声で呼びかけたりせず、ハルトくんの好きなミニカーを静かに並べて見せました。すると少しずつハルトくんの警戒心が解け、無邪気な笑顔を見せるようになったのです。

 

観察室でその様子を見ていたミサコさんは、子どもが怖がらずに心から楽しそうに過ごす姿に、ほっと胸をなで下ろしました。

 

 

この試行的面会交流の成功と調査官が作成した客観的な報告書がきっかけとなり、タカシさんとミサコさんは第三者機関の立会いを活用した定期的な面会交流の実現に向けて、大きな一歩を踏み出すこととなったのです。

試行的面会交流の目的と意義~「同居親の不安感」を解消~

試行的面会交流は、家庭裁判所が面会交流の可否や現実的な実施方法を見極めるために行われます。調停や審判の期日間に裁判所内で慎重に行われる、お試しの交流です。

 

 

この手続には、「同居親が抱く強い不安や拒否感を解消・軽減する」という意義があります。面会交流を固く拒む同居親の背景には、「子どもが連れ去られるのではないか」「過去の葛藤が再燃して傷つくのではないか」といった切実な不安が存在します。

 

試行的面会交流は、「裁判所の児童室」という安全な空間で専門知識を持つ家裁調査官が立ち会い、同居親はマジックミラー越しの観察室から安全を確認できます。

 

今回のミサコさんのように、子どもが笑顔で安心して過ごす姿を自分の目で確認することで、同居親の心理的抵抗感が大きく和らぎ、直接交流に向けた協議が一気に前進するきっかけとなります。

次ページ調査報告書には何が記載されるの?

※プライバシー保護のため、登場人物の個人情報に一部変更を加えています。

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