(※写真はイメージです/PIXTA)

「子どもを私立一貫校へ入学させたい」という思いを持つ親は多い。しかし、学費や物価の急激な高騰が続く昨今、子の私立中高一貫校への進学は、多くの家庭にとって非常に大きな経済的な負担となる。本稿では、作家・元外務省主任分析官の佐藤優氏の著書『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる〈実践・成功編〉』(飛鳥新社)から一部を抜粋・編集し、私立校・公立校の比較データから、学校種別のメリット・デメリットを解説する。

私立だけが選択肢なのか? 小学校から高校まで公立校に通うメリット

日本で小学校から高校まで公立校に通う主なメリットは、経済的な負担の軽さと、地域社会に根ざした多様な人間関係の構築にある。

 

文部科学省の調査や教育関連の分析に基づくと、以下のような具体的な利点が挙げられる。

 

①圧倒的な学費の安さ:公立校は国や自治体が運営しており、公費が投入されているため、私立高よりも大幅に教育費を抑えることができる。授業料だけでなく、教材費や修学旅行費なども安く設定されているため、ここで浮いた教育費を大学進学のために充あてられる。貯蓄、あるいは塾などの校外学習にも充てることができる。

 

②通学の利便性と地域との交流:公立の小中学校は原則として学区制であるため、生活環境に密着したメリットがある。自宅から近い学校に通うため、通学時間が短く、防犯面や体力面での負担が少なくなる。また、近所に住む子どもたちが児童・生徒であるため、放課後や休日も遊びやすい。すると、地域に密着した人間関係を築くことができる。

 

③多様な価値観に触れる環境:私立校には、家庭環境や学力層が同じような生徒が集まる傾向にあるが、公立校には、雑多な背景を持つ生徒が集まる。そのため家庭環境や価値観の異なる多様な友人と交流することになる。すると、社会に出た際に役立つ適応能力や幅広い視野が養われる。また地域密着型の、のんびりとした環境が、子どもの性格に合うケースもある。

 

④高校受験の効用:中高一貫の私立校では、高校受験がない一方、6年間の学習のなかで、中だるみをしてしまうことがある。高校受験を経験することによって、大学受験に向けて、再度、学力の定着や目標の達成に邁進する習慣が身に付くという考え方もある。

 

⑤優秀な進学実績を誇る公立校:公立でも、私立に引けを取らない大学合格実績を出す学校が数多く存在する。たとえば2026年の東京大学合格者の出身校を見ても、上位30位以内に国公立高校が10校も入っている。以下がそのリストとなる(出所:「サンデー毎日」2026年4月19日号、大学通信オンライン)。

 

4位:筑波大附属駒場(東京)

8位:日比谷(東京)

13位:横浜翠嵐(神奈川)

16位:湘南(神奈川)

18位:筑波大附属(東京)

22位:浦和(県立・埼玉)

23位:旭丘(愛知)

28位:小石川(中等教育・東京)

29位:西(東京)

29位:岡崎(愛知)

 

こうした学校の授業を軸に、塾に通わずとも、現役で難関大学に合格するケースも数多く報告されている。

 

 

佐藤 優

 

 

※本連載は、佐藤優氏の著書『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる〈実践・成功編〉』(飛鳥新社)から一部を抜粋・編集したものです。

定年後の日本人は世界一の楽園を生きる〈実践・成功編〉

定年後の日本人は世界一の楽園を生きる〈実践・成功編〉

佐藤 優

飛鳥新社

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