「知らなかった」では済まない…相続後に押し寄せる現実
健一さんは最終的に、預貯金の一部に加え、自身の手元資金も充てながら、税理士の助言を受けて納税資金を確保しました。一部の不動産については、将来的な売却も視野に入れて整理を進めているといいます。
「一番きつかったのは、財産の全体像を自分が何も分かっていなかったことです。父任せにしていた結果、亡くなってから全部が一気に来ました」
国税庁『令和6年分 相続税の申告事績の概要』では、相続税の課税対象となった被相続人の割合は一部に限られる一方、いったん課税対象になれば、土地・現金・有価証券など財産構成に応じて相続人の負担感は大きく変わります。単に「不動産があるから安心」とは言えず、納税資金をどう準備するかまで含めた対策が重要です。
健一さんは今、親の相続について兄弟や自分の家族とも早めに話すようになったといいます。
「相続対策というと節税ばかり連想していましたが、実際には“何を持っていて、どう分けて、税金をどう払うのか”を共有しておくことのほうが先でした」
相続は、財産の額だけを見れば“プラス”に見えても、実際には納税や管理の負担が伴います。不動産が多い家庭ほど、現金化のしづらさや納税の問題が表面化しやすく、親が何となく把握しているだけでは不十分です。実態を知らないまま迎える相続は、残された家族にとって大きな負担になり得ます。
「こんな負担になるとは思わなかった」
財産を受け取ることと、それを維持し納税まで完了させることは、まったく別の問題です。相続対策で本当に必要なのは、親が一人で準備することではなく、家族全体で財産の内容と負担を共有し、現実的な見通しを持つことなのかもしれません。
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