今回は、シンガポールに多数の外国企業が進出する5つの要因を解説します。※本連載では、ビズラボシンガポール所長、日本アシストシンガポール代表取締役・関 泰二氏の著書『シンガポールとビジネスをするための鉄則55』(アルク)の中から一部を抜粋し、仕事でシンガポールに関わる人が知っておくべき基礎知識をご紹介していきます。

世界中から集まる「高い能力」を持った人材

Q.シンガポールに進出する外国企業が多いのはなぜですか?

 

A.立地の良さに加え、制度やインフラが整っており、ビジネスをしやすい環境が整備されているためです。

 

シンガポールでは現在、約7000社もの多国籍企業がビジネスを展開していると言われています。これほど多くの外国企業が進出しているのは、それだけシンガポールのビジネス環境がよいことを表しています。その要因として大きく次の5つが挙げられます。

 

①外資規制が少なく、すべての業種で事業を開始しやすい

シンガポールは、国家の安全保障にかかわる事業以外は、外資であっても「出資制限」がなく、メディア関係の一定の分野を除いては「業種制限」もありません。また、1S$(約75円)で会社を設立することが可能で「最低資本金」もありません。

 

「出資制限」「業種規制」「最低資本金」の規制がほぼなく、外資100%でビジネスがスタートできるのは、東南アジアの中でもシンガポールだけでしょう。

 

②東南アジアの情報が集約するハブのため、事業構想が立てやすい

シンガポールは、東南アジアの中心にあるという地理的優位性を活かし、「ヒト、モノ、カネ」を集める戦略で、制度やインフラを整備しています。自国の教育水準も高く、英語が堪能な人材も豊富です。あらゆる業種業態の、高い能力を持った人材が世界中から集まっており、業界動向などの最新情報も入ってきています。今後の事業構想を立てるための情報収集を効率的に行うことが可能です。

 

③東南アジアのショーケースとして活用でき、事業展開がしやすい

シンガポールは、世界中から多くの国際会議、イベント、展示会・見本市を誘致しています。国際会議が開催される都市としては世界トップです。これは、世界で最も商談機会の多い国際的な都市であることを示しています。

 

また、シンガポールでのビジネスの成功は、周辺諸国に対するショーケースともなります。多くの企業が、人口約561万人のシンガポール市場だけでなく、約6億人の東南アジア市場へのゲートウェイ(入口)としても活用しています。

世界最高峰の設備が完備されているチャンギ国際空港

④ビジネスをするための社会インフラが充実している

シンガポールは、空港や港湾などの物流インフラ、インターネットなどの情報インフラが充実しています。チャンギ国際空港は、建設当初から世界最高峰の設備が完備されていて、物流の拠点として国際的に高く評価されてきましたし、シンガポールの港は世界中の約600以上の港とつながるハブ港として機能しています。インターネットの接続速度やセキュリティも、世界トップレベルです。こうした環境は、アジアやグローバルのビジネスセンターとしての事業基盤を築くうえでも、理想的といえます。

 

⑤外国企業に対する優遇策が多い

シンガポールの法人税の実行税率は17%と、日本の29・74%より大幅に低いうえ、課税所得のうち最初の1万S$(約75万円)については75%免税、次の29万S$(約2175万円)は50%免税になります。また、キャピタルゲインや受取配当金は基本的に非課税です。外国企業に対する税制優遇については、詳しくはQ50(書籍参照※P200)をご覧ください。

シンガポールとビジネスをするための鉄則55

シンガポールとビジネスをするための鉄則55

関 泰二

アルク

アジア進出への第一歩の場として注目を浴びるシンガポール。現在、1000社以上の日本企業がシンガポールに拠点を置き、さらに増加傾向と言われています。 本書は、仕事でシンガポールに関わる人が知っておくべき「鉄則」をコン…

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