シンガポール人とのビジネス 契約書作成時の留意点

今回は、シンガポール人とのビジネスにおいて、契約書を作成する際の留意点を見ていきます。※本連載では、ビズラボシンガポール所長、日本アシストシンガポール代表取締役・関 泰二氏の著書『シンガポールとビジネスをするための鉄則55』(アルク)の中から一部を抜粋し、仕事でシンガポールに関わる人が知っておくべき基礎知識をご紹介していきます。

お金に関する条件を「曖昧」にしないシンガポール人

Q.シンガポール企業とビジネスの交渉をしたり、契約を結んだりする際、どんなことに注意すべきですか?

 

A.何事も曖昧なままにせず、丁寧に確認し、やり取りはすべて契約書などの文書に残しましょう。

 

シンガポール人はビジネスに対して非常にドライで、自分にとってメリットになるかどうかをスピーディに判断することが習慣になっています。初対面であっても、相手の学歴やキャリアを確認し、お互いがビジネスパートナーとしてふさわしいかどうか、英語で意思疎通がスムーズに行えるかどうか、などを確認して商談を行います。

 

初対面の人に、お金などの条件面をストレートに質問することを避ける日本と異なり、ビジネスを進めるにあたっては何でも直球で聞いてきます。このため日本人の中には、最初は戸惑い、不快に思う人も多いようです。しかし、決してお金に汚いというわけではありません。ビジネスをするうえで、お金に関する条件は非常に大切なことで、それを曖昧にする習慣がないだけなのです。お金に関する個人的なことで、答えたくない話題に対しては「日本人はそういうことを話題にしない」と丁重に伝えて回答を避けるとよいでしょう。

 

条件付きの「YES」は、実質「NO」であることも!?

シンガポール人は、南国の人間にありがちなおおらかな面を持つ一方で、大事なことはすべて文書化して契約を交わす欧米式の契約方法を採用しています。お互いにビジネス上のルールを確認する意味でも契約は大変重要で、信用できると感じている相手であっても契約書を交わすのが普通です。日本では契約書まで結ばないようなことでも、シンガポールではやりとりをすべて書面に残します。

 

例えば、シンガポール人のYESとNOは、欧米よりも日本に似ています。Yes,but...(はい。しかし……)のような、条件付きのYESは、NOであることがあります。こうした曖昧な表現は、後で文面などで確認するほうがよいでしょう。

 

シンガポールの法律でも、日本と同じく、口頭の約束でも契約とみなされます。しかし、口頭でのやりとりは「言った」「言わない」のトラブルになりやすいですし、特に英語でのやりとりだと、解釈の違いによる誤解が生じる可能性もあります。言語や商習慣が違うことを考慮し、曖昧な部分を残さないよう、契約書に明記することでトラブルを回避できます。メールでお互いの意思を確認した後であっても、必ず署名入りの契約書を作成し、両者で持っておくようにしましょう。

 

契約の際には、基本的な内容以外にも、ビジネスがうまくいかなかった場合についても盛り込むことを忘れないようにしましょう。例えば、合同で事業を始める場合は、利益の分配率を契約書に盛り込むのは当然ですが、事業が失敗したときの互いの責任の範囲なども、明確に記載しておく必要があります。事業にはある程度の失敗はつきものです。その時の対応を考えずに事業を進めると、裁判を起こすような事態に発展しかねません。忘れずに契約に盛り込みましょう。

日本アシストシンガポール 代表取締役
ビズラボシンガポール 所長 

ビズラボシンガポール所長、日本アシストシンガポール代表取締役。1971年生まれ、東京都出身。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際関係学修士課程修了。シンガポール政府国際企業庁、在京シンガポール共和国大使館商務部を経て、2011年日本アシストシンガポール設立。会員制情報サービス「ビズラボシンガポール」、レンタルオフィス「クロスコープシンガポール」などを運営し、日本企業のシンガポール進出や新規事業立ち上げを支援する。「シンガポール和僑会」会長。

著者紹介

連載シンガポールで円滑にビジネスを進めるための基礎知識

 

 

シンガポールとビジネスをするための鉄則55

シンガポールとビジネスをするための鉄則55

関 泰二

アルク

アジア進出への第一歩の場として注目を浴びるシンガポール。現在、1000社以上の日本企業がシンガポールに拠点を置き、さらに増加傾向と言われています。本書は、仕事でシンガポールに関わる人が知っておくべき「鉄則」をコンパ…

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