現在、1000社以上の日本企業がシンガポールに拠点を置き、今後はさらに増加傾向とも言われています。本連載では、ビズラボシンガポール所長、日本アシストシンガポール代表取締役・関 泰二氏の著書『シンガポールとビジネスをするための鉄則55』(アルク)の中から一部を抜粋し、ビジネスでシンガポールに関わる人が知っておくべき基礎知識を紹介していきます。

マレーと中国の文化が混ざった独特な「プラナカン文化」

Q.シンガポールは多様性に富んでいるといわれますが、具体的にどんなことが挙げられますか?

 

A.国民はさまざまな民族、言語、宗教の人々で構成されていて、外国人も多く住んでいます。

 

シンガポールには州や県がない都市国家で、政策や法律に関しては政府が統一的に管理・運営しています。ですが、そこに暮らす人々は多様性に富んでおり、さまざまな民族的・宗教的背景をもっています。

 

民族構成は、中華系がおよそ74%、マレー系が13%、インド系が9%です。外国人もたくさん住んでいて、人口の約3割が外国人です。

 

宗教も多様です。仏教が最多で約33%、次いでキリスト教18%、イスラム教15%、中国に起源を持つ道教11%、ヒンズー教5%となっています。祭日や祝日も宗教ごとに設けられており、さまざまなパレードやイベントが開催されます。


先住民のマレー人と、14世紀以降に移り住んだ中国人の子孫を「プラナカン」と言います。豊かな商人が多く、マレーと中国、ヨーロッパの文化をミックスさせた独自の生活スタイルを築き上げました。

 

プラナカン文化の中でも有名なのは、明るいパステルカラーとネオゴシック様式やバロック様式などのプラナカン建築です。市内中心部のオーチャードロード付近や、チャイナタウン近くのブレアロード周辺で見ることができます。シンガポール国立博物館の近くには、プラナカン文化を紹介する、プラナカン博物館があります。

 

プラナカンの料理は、「ニョニャ料理」と呼ばれます。ニョニャはマレー語で女性を意味します。香辛料たっぷりのマレー料理と、中華料理の両方の特徴をもちます。白身魚の唐揚げに辛いチリソースをかけた「イカン・ゴレン・チリ」などが有名です。

シンガポール訛りの英語「シングリッシュ」

シンガポールの公用語は英語、マレーシアの国語でもあるマレー語、中国語、南インドで話されるタミル語の4つです。ビジネスの世界では主に英語が使われ、人種を問わず、ほとんどの人が英語でコミュニケーションをします。しかし、一口に英語といってもヨーロッパ人の英語や日本人の英語、アフリカ人の英語などさまざまです。

 

街の中で話されているのは、シンガポール訛りの英語である「シングリッシュ」が
主で、その他、民族に応じて母国語が話されています。

 

シンガポールの住民は、これまでさまざまな国に住んだ経験がある人も多く、3カ国語以上話せる人も珍しくありません。

 

同じ民族でも、話される言語は多種です。例えば中華系で話される言葉は、福建語や潮州語などさまざま。インド系では、タミル語やヒンディー語などが使われます。

シンガポールとビジネスをするための鉄則55

シンガポールとビジネスをするための鉄則55

関 泰二

アルク

アジア進出への第一歩の場として注目を浴びるシンガポール。現在、1000社以上の日本企業がシンガポールに拠点を置き、さらに増加傾向と言われています。 本書は、仕事でシンガポールに関わる人が知っておくべき「鉄則」をコン…

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