(※写真はイメージです/PIXTA)

2,500万円の退職金を受け取った佐藤さん(仮名)は、銀行に紹介された定期預金の「特別プラン」に加入しました。特別待遇と銀行への信頼による安心も束の間、5年後まさかの悲劇に襲われることに……。「優秀な銀行員の提案」には、“銀行が儲けるためのカラクリ”が巧妙に隠されているのかもしれません。本記事では、元銀行員でFPの桐山昌也氏が銀行の金融商品セールスの裏側を解説します。

【解説】元銀行員が明かす「提案」の裏側

銀行の「提案」には、顧客の利益とは別の「力学」が働いています。

 

手数料を稼げる商品と「有能な行員」

銀行のほぼ唯一の評価基準は「どれだけ利益を稼いだか」です。顧客の資産を増やす、守ることは評価基準にはありません。複雑な仕組みの投資信託など、顧客には見えにくい形で高額な手数料を「内包」した商品を売ることこそが、彼らが「有能な行員」と評価され、銀行内の生存競争に勝ち残り、出世するための「正しい行動」です。

 

顧客口座の入出金は丸見え「退職金は大チャンス」

銀行は、顧客の預金口座を常時監視していて、毎朝、配信される「特定入金リスト」には、前日に多額の入金があった顧客名と金額が、生々しい数字となって羅列されています。特に退職金の着金は、支店に課せられた膨大な収益目標を一気に達成するための「大チャンス」。支店長以下、営業担当者全員が注目し、投資信託等運用商品の販売に努めます。

 

「異動」という名のリセット・システム

数年後、顧客の資産がたとえ激減したとしても、勧誘した担当者や支店長はもうそこにいません。銀行員には数年おきの定期異動が義務づけられており、これがある意味「責任のリセット・システム」として、自分本位なセールスを助長している面もあるのではと思います。

【アドバイス】退職金を守り、豊かな人生を完走するために

焦りは禁物(特に初心者は)、まずは老後資金設計

大金を手にした直後は、誰しも気が大きくなったり、「なにかしなければ」と焦ったりするものです。そこに金融機関はセールスを畳みかけてきます。できれば、退職金をもらう前の時期に、自身の老後資金設計を考えておくのが理想です。独立系FP(ファイナンシャルプランナー)のように、金融商品を売ることで利益を得ない、独立系の専門家に相談するのも一つの手です。

 

「投資しない贅沢」も一つの正解

多額の退職金をもらえる人は、年金収入も充実していることが多いものです。実は「無理に増やす必要がない」というケースが意外なほど多いのです。金融機関が囁く「増やさなければだめ」という言葉は、彼らのノルマ達成のためのポジショントークに過ぎません。

 

「Die with Zero(ゼロで死ぬ)」の哲学

人生の目的は、使い切れないお金を墓場に持っていくことではありません。特に老後においては、資産を「価値ある経験」へと賢く変換し、人生の満足度を最大化することこそが本質です。

 

退職金という長年の努力の結晶は、銀行のノルマのためにあるのではありません。あなたの豊かな人生のためにあるのです。銀行の「ヒーロー」にあなたの人生を削られないよう、くれぐれも注意したいものです。

 

 

桐山 昌也

株式会社ライトオブライフ

代表/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

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