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ミドルシニアを取り巻く「再就職」の厳しい現実
厚生労働省『令和6年 労働経済の分析(労働経済白書)』によれば、中高年層の転職において、前職よりも賃金が減少する割合は年齢が上がるにつれて高くなる傾向にあります。特に50歳以上では、前職より賃金が1割以上減少した人の割合が38.5%に達しています。
中高年層の賃金減少の背景には、主に3つの要因があります。
■スキルの「特殊性」と「汎用性」のギャップ
長年の勤続によって培われたスキルが、その企業内でしか通用しない「企業に特殊な熟練」に偏っている場合、他社へ移った際に正当に評価されにくくなります。
■年功的賃金体系との乖離
多くの日本企業では、依然として年齢や勤続年数に応じて賃金が上昇する体系が残っています。中高年層が転職する場合、前職の賃金には「その会社での長年の貢献」が含まれています。しかし、転職先では「職務に対する対価」として再評価されるため、年功分が剥落して賃金が下がることが多いとされています。
■希望条件の変化(自発的な選択)
ネガティブな側面だけでなく、中高年層の中には「給与よりも、やりがいや勤務地、労働時間などの条件を優先して、あえて賃金が下がる転職を容認している層」も一定数存在します。
また、労働政策研究・研修機構(JILPT)『ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成』では、50代以上の転職者は、前職で培った「専門知識・スキル」を活かせている実感が高い一方で、管理職としての採用は4割程度にとどまると指摘しています。 厚生労働省『生涯現役社会の実現に向けた調査』では、中小企業は大企業の技術やノウハウを求めてはいるものの、実際には「人手不足解消のための労働力」として期待しているケースが多いのが実情です。高い役職や報酬を前提とした採用には消極的な実態が浮き彫りになっています。
高給の管理職ポストの枠は極めて限定的です。それに対して、多くのミドルシニアは「自分には実績がある」というプライドから、過去の給与水準に固執しがちです。これまでの成功体験を一度リセットし、現在地を客観的に把握することが、再出発の第一歩といえるでしょう。