(※写真はイメージです/PIXTA)
理想の古民家暮らしのはずが「まさかの落とし穴」
甘見さん(仮名・62歳)は、早期退職を機に妻と二人で自然に囲まれた地方へ移住しました。退職金とこれまでの貯金を合わせた老後資金は約4,000万円。年金受給開始までの期間も、このお金があれば十分に乗り切れると考えていました。
甘見さんが選んだのは、築数十年の古民家でした。購入価格は500万円と手ごろで、「少しずつ自分たちでDIYしながら住みやすくしていこう!」と夢を膨らませていました。
しかし、実際に暮らし始めると、すぐにその考えが甘かったことに気づかされます。
「夏は涼しくていいのですが、冬の寒さが異常でした。すきま風どころか、朝起きると室内の水が凍っていることもありました。たまらず業者を呼ぶと、水回りの大改修と断熱工事が必要だといわれたのです」
さらにシロアリ被害も発覚し、結局リフォーム代として1,500万円以上が飛んでいきました。残りの貯金は一気に2,000万円にまで減ってしまい、甘見さんは強い不安を抱くようになります。
「物価高」と「車の維持費」で地方移住の継続を諦める選択
さらに追い打ちをかけたのが、2025年以降に顕著になった物価高です。地方なら生活費が安く済むと思い込んでいましたが、現実は違いました。
「近くのスーパーは競合店がないせいか、都内のスーパーよりも野菜や肉が高かったんです。それに加えて、プロパンガス代が毎月高くつきます。夫婦でそれぞれ車を所有しているため、ガソリン代や車検代などの維持費も重くのしかかりました」
物価上昇の波は地方にも押し寄せており、ガソリン代の高騰は移動に車が不可欠の地域では死活問題でした。節約のために外出を控えるようになり、なんのために移住したのかわからなくなってしまったと後悔の念を口にします。
「このままだと、年金をもらう前に貯金がゼロになる……」
資金枯渇の恐怖に耐えきれなくなり、甘見さんは損を承知で古民家を売却。現在は都市部の中古マンションを借りて、生活を立て直しています。