日本の半導体産業を牽引する東京エレクトロン。多くの製造装置で世界トップクラスのシェアを誇るが、1963年の創業当時、同社の筆頭株主だったのは意外にも大手メディア企業だった。商社として始まり、ベンチャー精神とM&Aで世界首位へと上り詰めた同社。田宮寛之氏の著書『日本人が知らない!! 世界シェアNo.1のすごい日本企業』(プレジデント社)より、その成長の軌跡と、今後1.5兆円を投じる成長戦略を解説する。

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TBSの子会社としてスタート…東京エレクトロンの“意外な過去”

 

同社は電子機器商社として1963年に設立された。創業者は日商岩井(現・双日)出身の久保徳雄と小高敏夫の2人。

 

小高は日商岩井時代にエレクトロニクス機器の輸入業務に携わる一方で、TBS(現・TBSホールディングス)を担当していた。創業の際にTBSに出資を依頼したところ、当時、ベンチャー企業投資に熱心だったTBSの眼鏡にかなった。

 

TBSの子会社としてスタートし、1980年の東証2部上場を機に出資比率は徐々に低下したが、今でもTBSは東京エレクトロン株を3.2%保有する大株主だ(2025年3月末時点)。創業当時はTBSに間借りしており、その後いったん移転したが、1994年から赤坂のTBSビル内に本社を構えている。

 

「石油ショック」が成長のきっかけに

設立当初は車載用ラジオや電卓といった電子機器を輸出し、半導体製造装置や電子部品を輸入する専門商社だった。設立初年度から黒字で順調なスタートを切ったが、1973年に石油ショックに襲われる。

 

そこで当時、売上の6割を占めていた車載用ラジオや電卓などの低採算品の輸出から撤退し、成長途上にあった半導体製造装置などの輸入に特化することにした。

 

ただ、同社は装置を売りっぱなしにはせず、装置の改良やメンテナンスなどのサポート業務にも注力。当時の米国製装置は故障しやすかったため、サポート業務は歓迎されて、装置の販売増加につながった。そうこうしているうちにサポートだけでなく、装置製造も自社でやろうという機運が高まっていった。

 

一方、日本企業の半導体生産量がどんどん増加していたため、米国の半導体製造装置メーカーは日本国内での装置製造を検討するようになっていた。こうした流れを受けてイオン注入装置製造のテル・バリアン社、エッチング装置製造のテル・ラム社などとの合弁企業を設立。国内の半導体メーカーへ装置を製造販売した。

 

1985年のプラザ合意をきっかけにした円高不況で、合弁相手のビジネス意欲が低下すると合弁相手から株を買い取って完全子会社化。1986年には半導体製造装置の輸出を開始した。

 

その後、国内外で売上が伸びて、89年から91年までの3年連続で半導体製造装置メーカー世界トップに輝く

創業から25年で世界首位の背景にある“商社魂”

創業からわずか25年で世界首位に躍り出たのは、同社が商社で創業し、フットワークが軽いからだろう。製造業でスタートすると技術志向が高く、自前技術にこだわりすぎて新製品開発に時間がかかりすぎることがある。

 

しかし、同社は簡単に他社と提携するし、必要とあれば他社をM&Aすることもある。商社的なビジネス展開が同社の特徴だ。

 

同社の技術力は特許保有件数からもわかる。2024年3月末で2万3249件と世界トップなのだ。将来への種まきにも力を入れていて、2025年から2029年までの5年間で研究開発費1.5兆円、設備投資7000億円を予定し、1万人を採用するとしている。

 

 

田宮 寛之

東洋経済新報社

編集局編集委員

 

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※本連載は、田宮寛之氏の著書『日本人が知らない!! 世界シェアNo.1のすごい日本企業』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本人が知らない!! 世界シェアNo.1のすごい日本企業

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田宮 寛之

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