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60歳定年を境に収入大幅減! 家計の大変化をどう捉えるべきか
定年後の再雇用において、現役時代と同じ待遇を維持できるケースは極めて稀です。
厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、男性(正社員)55~59歳の平均給与は月45.9万円に対し、60~64歳になると月38.2万円に減少。これは60歳以降も正社員として働き続ける場合であり、再雇用制度を採用する多くの企業では、定年以降、正社員ではなく契約社員や嘱託社員といった契約に。当然、給与体系も変わります。同調査によると、男性・正社員以外の60~64歳の月収は平均29.8万円。正社員から正社員以外になることで、月収は平均34%減少。元管理職など、役職手当がなくなる場合は、さらに減少幅は大きくなるでしょう。
問題なのは、この収入減という現実に対し、夫婦間での認識の共有や事前の対策が不足している場合。夫は給料が下がったことへの引け目から防衛的になりやすく、妻は生活水準を落としたくないという不安から夫を責めてしまう――そのようなすれ違いが、夫婦仲に亀裂を生むことも。
「稼いでこい」という言葉は、自身の無力感の裏返しでもあります。しかし、感情的にぶつかる前に必要なのは、家計の「ダウンサイジング」を夫婦で冷静に話し合うこと。現役時代のプライドや生活レベルに固執せず、入ってくる収入に合わせて支出を見直す。定年後は夫婦共に、限られたリソースでどう暮らしていくかを考える必要があります。
[参考資料]
厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』