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「普通」の生活が維持できない、年金月17万円の現実
千葉県内・築40年のマンションで一人暮らしをする佐々木健一さん(77歳・仮名)。大手メーカーのグループ会社で定年まで働き、その後、再就職。現在は、老齢基礎年金と厚生年金を合わせて月17万円ほどを受給しています。
厚生労働省の報告によると、65歳以上の元サラリーマン(男性の厚生年金受給権者)の年金受取額と比べると、ちょうど平均といえる水準です。ある程度、生活にも余裕があるかと思えば、現実はそうではないようです。
「ちょうど、30代後半だったでしょうか、年金制度が変わって国民皆年金という形になったのは。それで『年金さえしっかり払っておけば、老後は安泰だ』と聞かされてきたから、どんなに給与から保険料が天引きされようと、『将来のためだから仕方がない』と思って頑張ってきました。でも、いざ年金をもらいだしたら、どうも様子がおかしい。しかも70歳になるころには『年金では老後は2,000万円不足します。みんな頑張って資産形成をしましょう』と騒ぎだして……。私たちのような世代は、もう手遅れですよ」
佐々木さんの生活は、決して贅沢ではありません。朝食は食パンとコーヒー、昼はスーパーの安い惣菜を買ってくるか、ふりかけご飯や卵かけご飯。夜は簡単な自炊で済ませています。
しかし、固定費が家計を圧迫します。長年住み続けているマンションの管理費と修繕積立金、そして高騰する光熱費だけで月5万円近くが消えます。さらに、持病の糖尿病と高血圧の通院費、介護保険料や住民税なども差し引くと、手元に残る生活費はわずかです。
「最近一番困っているのは、家電の故障や冠婚葬祭などの『予定外の出費』です。先月はエアコンが動かなくなり、買い替えのために10万円近く飛んでいきました。まだまだ何かのときのために備えないといけない。それなのに貯蓄はどんどん減っていく。不安でたまりません」
佐々木さんには都内に住む息子家族がいますが、自身の生活を守るのに精一杯だといいます。「そんな子どもたちに迷惑はかけられない」という思いが、さらに佐々木さんを追い詰めます。
「現役時代、私は真面目に働き、一度も保険料を滞納したことはありません。制度を信じて、国が言う通りに生きてきました。それなのに、明日の心配をしながら生きていかないといけないなんて……。何か悪いことでもした罰なのかと思うばかりです」