(※写真はイメージです/PIXTA)
では、もし斎藤さんのように突然「退職勧奨」を受けたら、どうすればよいのでしょうか。
第一に、その場で即答してはいけません。 「勧奨」はあくまで会社からの「お願い」であり、法的な拘束力を持つ「解雇」とは異なります。
第二に、冷静に条件を確認することです。 会社側は、法的なリスクを避け、自主的な退職の形を取りたがっています。 これは、裏を返せば交渉の余地があるということです。 割増退職金の額、有給休暇の消化、再就職支援の有無など、提示された条件を書面で受け取り、安易に合意しないことが重要です。
もし、面談が連日行われる、大声で恫喝されるなど、「勧奨」の範囲を超えた「退職強要」が疑われる場合は、ICレコーダーなどで証拠を保全し、弁護士や労働基準監督署に相談する姿勢も必要です。
斎藤さんの悲劇は、「業績が良いから自分は安泰だ」という思い込みが打ち砕かれた点にあります。 自社の業績だけでなく、世の中の産業構造の変化を察知し、自身のスキルが「社外でも通用するか」を常に問い続ける。 それが、黒字リストラ時代を生き抜くための、唯一の防衛策なのかもしれません。
[参考資料]
東京商工リサーチ『2025年1-9月 上場企業「早期・希望退職募集」状況』
厚生労働省『職業安定業務統計(令和5年平均)』