(※写真はイメージです/PIXTA)
7割超が「異業種」へ。「この仕事、この環境はもう嫌だ」という切実な声
「次も同じ業種で働こうと思いますか?」という問いに、72.9%が「いいえ」と回答しました。これは、退職代行を利用する原因が、個別の企業だけでなく、その業種特有の環境そのものにあると感じている利用者が多いことを示唆しています。
希望職種は、「事務・管理」(51.7%)が最多で、「サービス・接客・店舗」(28.3%)が続きます。退職代行の依頼が多い職種が「サービス業」「営業」「医療関連」であることから、前職の不満が如実に反映されていると考えられます。サービス業は、退職代行利用が多い職種であるにもかかわらず、転職後の希望職種としても上位です。これは、「業種を変えるのではなく、環境の良い企業へ移動したい」と望む層が一定数いることを示しています。
退職代行の利用は不利にならない。書類選考通過率は50%以上、内定率は約12%で、一般的な大手転職エージェントと比較しても遜色のない水準です。
内定者は20代が69.8%と中心です。前職の勤続年数が1年以上の人は合計で4割以上。1ヵ月未満での退職者は9.3%と1割未満に留まり、退職代行利用者でも「すぐに辞めてしまう人」はごく一部で、多くがある程度の勤続経験を持っています。
内定者の転職前後の職種を見ると、転職前はサービス業(18.6%)、製造業・医療関連(同率14.0%)と利用が多い職種が上位です。一方、転職後は運送業(23.3%)、事務(21.0%)、サービス業(11.7%)が上位に。医療関連や製造業から、肉体的・精神的な負担の少ない運送業や事務職への人材流出が起きていると分析できます。
このように、退職代行利用という事実や短期離職経験があっても、適切な転職支援と企業選びによって、次のキャリアに大きな支障はきたしません。退職代行サービスは、若年層が主導する「前向きなキャリアチェンジ」の有力な選択肢となっているのです。
[参考資料]