(※写真はイメージです/PIXTA)
年金月12万円の生活を圧迫する「公平な孫への出費」
「生活は厳しいですよ、本当に」
東京都内で1人暮らしをする清水和子さん(70歳・仮名)。夫を早くに亡くし、現在は月々12万円ほどの年金で生活を維持しています。生活費を切り詰める日々ですが、和子さんの顔を曇らせるのは、可愛い5人の孫たちの存在です。
最初の孫である長男の息子、悠真くん(10歳)が生まれたときは、それはもう喜びで、和子さんは惜しみなく愛情を注ぎました。愛情とお金は表裏一体。高価なおもちゃや洋服はもちろん、急な旅行の費用まで、可能な限り工面。しかし、長女、次女の家族にも孫が生まれ、和子さんの孫は計5人に。
和子さんは、どの子も等しく可愛く、当然のように公平に接するのが基本。孫たちが家に来るたびに、小遣いを渡すのが定番で、全員に公平に用意しました。
「やはり、子どもにとって小遣いは嬉しいものですよね。しかし、前にあげているのに、今回はなし、というわけにはいかない。悠真に小遣いをあげた以上、あげ続けないといけないんです」
さらに小学校4年生になった悠真くん、おねだりするものも欲しがるものの金額も上がってきました。ゲームの限定版や高額なトレーディングカード……先日は、「最新スマホがほしい!」とひと言。さすがに長男が「それはないだろう!」と怒り気味で止めていましたが、それがなかったら「いいわよ」と言うしかなかったかもしれません。
この日も、長男夫婦と悠真くんが遊びに来る予定でした。和子さんは前日、いつものお決まりのお小遣い1万円をポチ袋に入れましたが、それを渡すことをためらったといいます。
「ちょうどね、前の日にお米を買ったのよ。2キロで2,500円。去年の春ごろは1,400円くらいで買えたのに。最近は生きていくだけで必死だから、孫へのお小遣いはできたら辞めたいの。でもね、楽しみにしているだろうから……」
可愛い孫でさえ、「煩わしい」とか、「重荷」と感じてしまう――なんてヒドイ祖母なのだ!という思いと、このままでは近いうちに老後資金が枯渇してしまうという恐怖。そんな危機感が交錯しているといいます。