(※写真はイメージです/PIXTA)
湾岸タワマンに潜む、貯蓄ゼロのリアル
都内の湾岸エリアに聳え立つタワーマンション。8年前に買ったこのマイホームで暮らすケンヂさんとミサキさん夫婦(仮名)は、周囲からみれば成功者かもしれません。
41歳のケンヂさんは大手メーカーの管理職として多忙な日々を送り、年収は900万円。40歳の妻ミサキさんはIT系の中小企業で広報職を務め、年収750万円です。世帯年収は合わせて1,550万円。私立小学校に通う6歳の長男と、私立幼稚園に通う3歳の長女を、休日は車でレジャーに出かけ、人気の習い事をさせています。仕事も家庭も順調そのものにみえます。
しかし、その実態は「貯蓄ほぼゼロ」。毎月の支払いは常にギリギリで、夫のボーナスで赤字を埋め合わせる自転車操業状態でした。彼らは決してギャンブル好きでも、怪しい投資に手を出しているわけでもありません。
なぜ、これほどの収入が毎月蒸発してしまうのか。その理由は、ライフスタイルにありました。
お金は「時間」を買うために使う
夫妻は多忙を極めています。ケンヂさんもミサキさんも、責任あるポジションにいるため、平日は残業続きです。そこで彼らが採用したのが、「お金で時間を買う」という解決策でした。
「疲れているから」と頻繁に利用するタクシー。「移動中にメールチェックもしやすいから、仕事の効率も上がる」とケンジさん。
「料理・洗濯をする時間がないから」と頼む家事代行サービス。「スーパーに行って食材を揃えて苦手な料理をする時間があったら、その時間を子どもと接する時間にあてたい」とミサキさん。これに関しては「ミサキさんは一切家事しないのね」と義母にチクリといわれると、胸がさざめくことも。ですが、「無添加で栄養バランスが取れたものを食べさせているし、いまの生活は夫と話し合って決めた暮らし方なので、言いたい人には言わせておこう精神で黙っています」とブレない軸を感じます。
最新家電と便利なサービスも駆使しています。ドラム式洗濯機はもちろん、ロボット掃除機、便利家電をフル導入。仕事着はすべてクリーニングの集配サービスを利用し、家事の手間を極限まで減らしているのです。
週末には「平日の埋め合わせを」と、子どもたちを連れてレジャー施設へ行き、プレミアムパスで並ぶ時間を短縮する。――そんな日々を送っています。
これらは一つひとつみれば、非常に合理的です。現代において「時間」は最も貴重な資源であり、激務をこなす彼らにとって、これらは単なる贅沢ではなく、生活を維持するための必要経費ともいえるでしょう。しかし、問題はこの必要経費が積み重なり、巨大な固定費となって家計を食いつぶしていることでした。彼らは、年収1,650万円を稼ぎながら子どもたちを育てるために、膨大なコストをかけて生活を維持しています。いわば、「高収入を維持するためのランニングコスト」が高すぎる状態なのです。