法人化のデメリットとリスク管理
法人化には当然ながらデメリットも存在します。まず、個人に比べて銀行融資の審査が厳しくなり、金利が高くなる傾向があります。特に新設法人の場合、信用力が低いため、資金調達に時間がかかることがあります。
また、法人には維持コストがつきものです。法人住民税の均等割は赤字でも必ず発生し、税理士顧問料や社会保険料負担も無視できません。こうした固定費は投資家にとっては無視できない負担となります。
さらに、法人化スキームを通じて地代設定や役員報酬の水準が不自然だと、税務署の調査対象となり、過去に遡って追徴課税を受けるリスクがあります。これを避けるためには、必ず税理士の助言を受け、適正な取引を行うことが必要です。
不動産会社 vs 資産管理会社:どちらが適しているか?
不動産管理会社と資産管理会社は目的が異なります。不動産管理会社は物件の管理業務を代行する役割に特化しており、オーナーの手間を減らすことが主な目的です。一方、資産管理会社は物件そのものを法人所有とすることで、税率のコントロールや相続税評価の引下げを目指すのが特徴です。
管理会社型は初期投資を抑えたい場合や、小規模物件で運用を継続する場合に向いていますが、節税効果は限定的です。逆に、所有会社型は節税効果が大きいものの、物件移転時の登録免許税や不動産取得税、譲渡所得税などの初期コストを考慮する必要があります。
また、複数法人スキームという手法も存在し、物件ごとに法人を分け、銀行融資を複数受ける手法があります。これによって、資金調達の最大化を目指すのです。しかし、現在はマイナンバー制度の強化によって複数法人を所有していることを銀行に知られる可能性が高く、審査に落ちるケースもあるため、慎重な取り扱いが求められます。
法人化による相続税対策の成功事例
実際の事例を紹介します。都心部で総資産10億円を保有していたオーナーは、4棟の賃貸物件の建物部分を法人に簿価で譲渡し、家族3人に年間1,000万円ずつ役員報酬を分配する形に切り替えました。これにより、個人の所得税を所得税45%から、法人税25%と給与所得10%に分散し、相続税額を約3億円から1.5億円へと50%削減したケースがありました。
また、地方都市のアパートオーナーも、所有物件を法人化して管理し、年間500万円の節税を10年間続け、累計5千万円の節税効果を上げていました。このように、法人化は上手に活用すれば、毎年の所得税負担を軽減するだけでなく、相続時の相続税負担を軽減することができるのです。
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