(画像はイメージです/PIXTA)

不動産投資というと、何千万円もする物件をたった1人で購入するイメージがあるかもしれません。しかし、最近では「小口化商品」と呼ばれる、少額から始められる不動産投資が注目を集めています。なかでも「任意組合型」のスキームは、相続対策や資産分散を目的とした投資家にとって、柔軟性の高い選択肢として人気です。しかしこの“自由度の高さ”は裏を返せば、仕組みや契約内容を自分自身でしっかり理解する必要があることも意味します。本記事では、税理士の立場から、はじめて任意組合型投資に触れる投資家に向けて、本質的かつ実践的な「見極めの視点」をお伝えします。

「仕組みがわかる」と投資は怖くなくなる

「任意組合型不動産投資」とは、複数人の出資者が共同で不動産を保有・運用する仕組みです。投資家は“出資者”として、間接的に不動産の所有権に関与します。これは、証券やREIT(不動産投資信託)と異なり、実物資産の「共同オーナー」になる感覚に近いものです。

 

その結果、一定の相続対策などの副次的なメリットが得られる場合もありますが、だからこそ、「自分はなにに投資しているのか」「どのような権利・義務を持つのか」を把握しておく必要があります。
 

組合契約では、「自分がなにを持っているのか」の把握がカギ

任意組合型では、「契約書」がとても重要です。契約書には、出資者の持分割合、分配方法、損失処理、物件を売却して現金化するプロセス(=出口戦略)など、資産の持ち方・管理のルール等が記載されています。

 

特に注意したいのは、「無限責任」という仕組み。これは、組合に損失が発生した場合に、出資額を超えて責任を負う可能性があるというものです。

 

重要なのは、「自分がなにを所有し、どういう立場にあるのか」を正しく読み取れるかどうかです。また、配当(分配)のルールや、出口戦略についても、明文化されているか確認しましょう。

 

「利益が出たときにどう分けるか」だけでなく、「損失が出た場合にどうするか」までが投資の実態です。

安心できる事業者には、「実績」と「情報開示」がある

投資において、“誰と組むか”は非常に重要です。特に不動産小口化商品のように、運用や管理を他人に委ねる構造では、運用主体(組成者)=事業者の信頼性が、投資全体のリスクとリターンを決定づける鍵となります。

 

では、どういった事業者が信頼に値するのでしょうか。まず注目したいのが「実績」と「情報開示の質」です。

 

たとえば、これまでに複数の案件を運用し、実際に物件の売却(=出口)までスムーズに完了させた実績があるかどうかは大きな判断材料です。

 

単に利回りの高い募集を繰り返しているだけでなく、終了時まで責任を持ってプロジェクトをやりきっているかどうか。この点を軽視すると、想定通りの出口が確保できず、資金回収に想定以上の時間がかかるリスクが高まります。

 

また、想定よりリターンが出なかったケースにどう対応したかという過去の姿勢も重要です。実績というと「成功事例」に目が向きがちですが、むしろ“不調な案件のときに、どれだけ情報を開示し、投資家に誠実に向き合ってきたか”にこそ、本当の信頼性が表れます。

 

さらに、利回りの数字だけを見て飛びつくのではなく、「誰が、どのように物件を管理し、どのようなプロセスで運用していくのか」までを見ていく視点が不可欠です。仮に利回りがよくても、運用の透明性がなければ、なにが起きているか把握できず、投資家として判断を下すことも難しくなります。

 

信頼できる事業者は、契約時の開示資料が整っているのはもちろんのこと、運用期間中も定期的なレポートや運用実績の報告、税務・会計面の透明性の高い情報をきちんと提供しているものです。

 

なかには、税理士や第三者専門家によるレビュー体制を導入している事業者もあり、そうした取り組みがあれば、よりいっそう安心感を持って投資に臨めるでしょう。

空室、大規模修繕…どんなリスクも、「仕組みと中身」を見れば怖くない

どんなに魅力的に見える物件であっても、不動産には本質的に「空室リスク」「修繕リスク」「価値の下落リスク」が内在しています。これは都心の一等地であっても例外ではなく、不動産投資である以上、リスクは避けられないものです。

 

ただし、ここで重要なのは、「リスクがあること」そのものを恐れるのではなく、それらに対して事前にどう備えているか=“仕組み”を見ることです。

 

たとえば、空室が一定期間続いた場合に備えて、リスクヘッジのために事業者がマスターレッシーとして固定賃料で物件を借りることで賃料保証をしているかどうか。また、建物には経年による修繕が必ず必要になりますから、将来的な修繕に備える「修繕積立金」や、資金計画が明確に盛り込まれているかも見逃せません。

 

こうした対応が制度化されている商品であれば、たとえ一時的なトラブルや想定外の出費が生じたとしても、投資家が直接的なダメージを受けるリスクは抑えられ、精神的な安心感もまったく異なります。

 

さらに、契約内容そのものの精査に加えて、開示資料の質や、定期的に発行されるレポートの内容も重要です。収支報告書や稼働状況のレポートが定期的に届くか、トラブルが発生した際にすぐに説明があるかどうか。情報開示の姿勢は、事業者の誠実さと透明性を測るひとつの指標です。

 

つまり、不動産特有のリスクそのものはゼロにはできませんが、「仕組み」と「中身」にしっかり目を向けることで、そのリスクは“読めるもの”に変わり、不安は大きく減らせるということです。
 

 

株式会社エールが販売する不動産小口化商品「eLShare(エルシェア)」
詳細パンフレットを無料プレゼント中!
申込はこちら≫

次ページ「信頼できる仕組み」には、必ず第三者の目が入っている