何度言っても、部下が期待通りに動いてくれない――。その原因は、部下の能力や意欲の問題ではなく、あなた自身の「接し方」にあるのかもしれません。部下が何気なく発する言葉には、意外な本音と、部下の才能を理解するためのヒントが隠されています。本記事では、野本果甫氏の著書『人材育成はフィードバックが9割 部下が自走して成果を出すリーダーシップの在り方』(ごきげんビジネス出版)より、自走する部下を育てるための「トリセツ」作成法について解説します。
覇気のないZ世代社員の「ほどほどにやります」…“部下を伸ばす上司”と“部下がすぐ辞める上司”、返答の違い (※画像はイメージです/PIXTA)

自身の「価値観」を自覚していない若手社員もいる

私がサポートしている企業に中途採用で入社した若手社員がいました。入社して間もないころに面談をする機会があり「新しい仕事はどうですか?」と聞いてみたところ、「ほどほどにやります」との答えが返ってきました。ずいぶん消極的な答えだなと感じましたが、「若い人のことも知りたいので、ぜひ教えてほしいんだけど『ほどほど』ってどういう感じなの?」と聞いてみました。

 

すると「仕事でストレスを感じるのが嫌なので、ストレスを感じない程度にやりたいんです」と話してくれました。私は内心「ストレスを感じない仕事なんて、あるのか?」と思いましたが、「ちなみに、いまの仕事で楽しいとか、やりがいを感じるときってどんなときなの?」と聞いてみました。しばらく考えて次のように答えてくれました。

 

「他部署の方から契約についての質問を受けることがあるんですが、まだ経験が少ない人は、お客さまとの契約でわからないことが多いんですよね。相手がわからなくて困っていることに対して、必要な情報を伝えることができて、助けてあげられたと感じたときは、やりがいを感じますね」

 

いまの仕事でやりがいを感じることはあるんだなと少し安心して、面談は終了しました。

 

その後しばらくして上司の方から「他部署からの質問に積極的に対応していて、他部署からも好評ですよ」という話を聞き、「がんばっているんだな」とうれしくなったことを覚えています。

 

部下のなかには、自分がどんな仕事にやりがいを感じているか、自分の強みは何かを自覚していない人もいます。リーダーが質問することで気づいてもらい、自覚することで、より積極的な行動につながるケースも多いです。部下を知るための10の質問は、1on1ミーティングの場を使って部下と一緒に明確にしていくことでも、部下の自己理解、上司の部下理解、どちらも深めることになります。

 

 

野本 果甫

サクシードビュー代表

 

※本記事は『人材育成はフィードバックが9割 部下が自走して成果を出すリーダーシップの在り方』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。