(※画像はイメージです/PIXTA)
自身の「価値観」を自覚していない若手社員もいる
私がサポートしている企業に中途採用で入社した若手社員がいました。入社して間もないころに面談をする機会があり「新しい仕事はどうですか?」と聞いてみたところ、「ほどほどにやります」との答えが返ってきました。ずいぶん消極的な答えだなと感じましたが、「若い人のことも知りたいので、ぜひ教えてほしいんだけど『ほどほど』ってどういう感じなの?」と聞いてみました。
すると「仕事でストレスを感じるのが嫌なので、ストレスを感じない程度にやりたいんです」と話してくれました。私は内心「ストレスを感じない仕事なんて、あるのか?」と思いましたが、「ちなみに、いまの仕事で楽しいとか、やりがいを感じるときってどんなときなの?」と聞いてみました。しばらく考えて次のように答えてくれました。
「他部署の方から契約についての質問を受けることがあるんですが、まだ経験が少ない人は、お客さまとの契約でわからないことが多いんですよね。相手がわからなくて困っていることに対して、必要な情報を伝えることができて、助けてあげられたと感じたときは、やりがいを感じますね」
いまの仕事でやりがいを感じることはあるんだなと少し安心して、面談は終了しました。
その後しばらくして上司の方から「他部署からの質問に積極的に対応していて、他部署からも好評ですよ」という話を聞き、「がんばっているんだな」とうれしくなったことを覚えています。
部下のなかには、自分がどんな仕事にやりがいを感じているか、自分の強みは何かを自覚していない人もいます。リーダーが質問することで気づいてもらい、自覚することで、より積極的な行動につながるケースも多いです。部下を知るための10の質問は、1on1ミーティングの場を使って部下と一緒に明確にしていくことでも、部下の自己理解、上司の部下理解、どちらも深めることになります。
野本 果甫
サクシードビュー代表
※本記事は『人材育成はフィードバックが9割 部下が自走して成果を出すリーダーシップの在り方』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。