豊富な経験と社内の人脈。年上のベテラン部下の高いプライドを傷つければ、彼らは手ごわい敵と化すでしょう。多くの若手リーダーが、彼らを力で抑え込もうとしたり、腫れ物に触るように避けたりして、関係をこじらせてしまいます。彼らに対し、どのようなアプローチをすればよいのでしょうか? 本記事では、野本果甫氏の著書『人材育成はフィードバックが9割 部下が自走して成果を出すリーダーシップの在り方』(ごきげんビジネス出版)より、年上部下への具体的なアプローチ方法を紹介します。
恐怖の社内政治…厄介な「年上ベテラン部下」の陰口をついつい言ってしまった「年下上司」の末路 (※画像はイメージです/PIXTA)

敵に回すと“社内政治”で潰される…手ごわい年上部下を、最強の味方にする方法

年上のベテラン部下は社内で人脈もあり、経験もあります。対立すると手強い敵ですが、味方につけると本当に心強い味方になります。年上ベテラン部下の対処法は「味方につける」がコツです。

 

マズローの欲求の5段階にあるように、どんな人でも貢献欲求はあります。誰かの役に立ちたい、という人間なら誰でももっている欲求を、年上ベテラン部下からどう引き出すかがポイントとなります。貢献欲求を引き出すためには「承認欲求を満たす」ことがポイントです。

 

ここでは、どのように承認欲求を満たせばいいかをお伝えします。

 

自尊心を傷つけない

人は誰でも「自分のことを価値ある存在として尊重してほしい」と思っています。それが自尊心です。人は自尊心を傷つける人のことを絶対に許しません。それほど人にとって大事なものです。ましてや長年勤務してきた年上のベテラン社員は、かなり高い自尊心をもっています。自尊心を傷つける次のような行為は避けるべきです。

 

・ 上から目線の指示
・ 扱いにくいため避ける
・ 影で愚痴を言う(年上ベテラン部下の人脈を侮ってはいけません)
・ はれものを触るような扱い
・ 「面倒くさい」という態度(想いは相手に伝わっています)

 

逆に、チームの貴重な戦力として協力してほしいことを伝え、相手の得意分野で頼ることは、その方の自尊心を満たします。

 

これまでの経験を聴く

相手を知るところからスタートです。人事情報にある情報を知ることはもちろんですが、面談の時間をとり、相手の経験や得意分野、仕事で大事にしていることをヒアリングしましょう。

 

年上ベテラン部下も、年下のリーダーに対して心理的抵抗や警戒心があることもあるため、最初の面談で、まずリーダーから自己開示することが大事です。自分の実績や優秀であることをアピールする必要はなく、むしろこれまでの失敗談や悩みなどを打ち明けると、相手も気負うことなく話せます。

 

とくに相手のこれまでの実績や成功体験などについて興味をもって聴くことは、相手の自尊心を満たします。年上ベテラン部下の経験を踏まえ、どんな仕事を担当してもらえばよいかもわかるでしょう。