「何度教えても同じミスを繰り返す」「手がかかる部下に時間を取られ、自分の仕事が進まない」……そんな悩みを抱える管理職は少なくありません。あなたの目の前の部下は、「やり方が分からないだけの人」か、それともごく少数である「その仕事に本当に向いていない人」かどちらでしょうか。両者へのアプローチはまったく異なります。本記事では、野本果甫氏の著書『人材育成はフィードバックが9割 部下が自走して成果を出すリーダーシップの在り方』(ごきげんビジネス出版)より、この2つのタイプを見極めるポイントと、それぞれに最適化された育成の具体策を解説していきます。
ぼーっと見てるだけ、何度言ってもできない…「本当に見込みがない部下」と「教え方次第で伸びる部下」の決定的な違い (※画像はイメージです/PIXTA)

何度教えてもできない部下への対処法

管理職研修やコーチングで「どうやっても成果を出せない部下がいる」というお悩みを聞くことがあります。私は接遇指導、電話応対指導をメインに行ってきましたが、繰り返し指導しても応対が改善されないスタッフや、何度教えても仕事をなかなか覚えないオペレーターも経験してきました。その経験から、成果が出せない理由として2つある、という結論に至りました。

 

1.やり方がわかっていない

2.その仕事に向いていない

 

それぞれの対処法についてお伝えします。

1.やり方がわかっていない場合の対処法

成果が出せない理由として、教えたはずのこと、わかっていて当然と思うことを理解していないことがあります。その場合はティーチングが必要です。リーダーとして認識しておいてほしいのは、教えてもできないことは教え方に問題があると考えたほうがよい、ということです。実際は教えられるほうにも問題はあるのですが、できない部下を責めても相手は変わりません。ということは、教える側の考え方と教え方を変えたほうが早いのです。

 

手順1:部下の現状を把握する

営業で何度教えても受注がとれない場合、営業の手順として部下がどんなことをどれくらいしているかをヒアリングしたり、営業同行などで部下の営業の仕方を観察したりします。

 

多くのリーダーは忙しくて数字などの実績ばかりを見て現状把握を後回しにしていることが多いです。成果の上がらない部下を成長させるためには、現状把握は必須です。リーダーが実際に見ることで、何ができていないかがよくわかると思います。