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公的保障で足りないのは?
公的保障は強力ですが、万能ではありません。保険を考えるときには、公的保障でカバーできない点を特定し、補うことが重要な視点となります。
医療費の自己負担
高額療養費制度があっても、払い戻しは診療の約3ヵ月後なので、一時的な立て替え資金が必要です。また、入院時に個室などを希望した場合の費用は全額自己負担です。厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」(令和6年)によると、全国平均で1日あたり約6,700円とされています。
さらに、先進医療を受けた場合も全額自己負担です。たとえば、緑内障の低侵襲手術では、数万円~数十万円かかることも。がんの重粒子線治療では300万円を超えることもあります。
給付金限度額2,000万円なのに「先進医療保険特約」はなぜ安い?
医療保険には月々数十円~数百円の保険料で特約として付帯できる「先進医療保険」があります。給付金限度額が1,000万円~2,000万円と高額にもかかわらず、なぜ安価な保険料で付帯できるのでしょうか?
そもそも先進医療は国が公的保険の対象と認めていない治療方法です。なかには治療効果に科学的根拠に乏しいものも含まれており、治療法として勧めない医師もいます。つまり、実際に利用される機会が少ないため、保険料が安く設定されているのです。「月々数十円で選択肢が一つ広がる」と考えれば、付帯する価値はあるでしょう。
ライフステージによる所得の差
独身者は扶養家族がいないため、高額な死亡保障は不要でしょう。葬儀代として200〜300万円あれば十分といえます。
子のいない共働き夫婦の場合、注意が必要です。パートナーが亡くなると、遺族基礎年金が受け取れず、世帯収入が半減する可能性があります。特に、30歳未満で子のいない妻は、夫の死亡時に受け取る遺族厚生年金が5年で打ち切られる「5年間の崖」問題もあります。
子育て世帯の場合、子どもが自立するまでの教育費や生活費をカバーするため、大きな死亡保障が必要です。
このように、リスクを具体的に洗い出すことで、必要な備えが明確になります。