ダイエットや健康管理のために、「揚げ物や油の多い肉はなるべく摂らないようにしている」という人は多いでしょう。しかし、その考えは誤解です。医師の尾形哲氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術【増補改訂版】』(KADOKAWA)より、50代女性の事例をもとに、脂肪肝を防ぐため積極的に摂るべき「具体的な食品」と、「牛乳や豆乳をそのまま飲んではいけないワケ」を紹介します。
栄養豊富な「牛乳」「豆乳」だが…医師が“そのまま飲むのはやめて”と止めるワケ【肝臓専門医が警告】
肉や魚は「手のひらサイズ」でOK
「タンパク質の摂取は3食でまんべんなくが理想です。特に朝食と昼食でタンパク質が不足する人が多いので、亜紀さんも意識して加えるようにしてください」
「朝食に魚や肉料理をするのは、私にはハードルが高そうです……」
「筋肉は合成と分解を繰り返していて、就寝中は分解が進みます。夕食から翌日の朝食まではタンパク質が供給されない時間が長く、筋肉の分解が進みやすいんです」
「そうなんですね……」
「朝食には卵や納豆をプラスするなど、手軽に食べられる食品を選んで、上手に組み合わせればいいですよ」
と、先生はにこやかに笑った。
「タンパク質を摂れる食品の選び方をお伝えしましょう。片手を広げてください」
わけがわからないまま、右手を広げた。
「肉や魚は手のひらサイズを食べれば、約20gのタンパク質を摂れます。分量としては100gほどです」
「とてもわかりやすいです」
「あとは、よりどり3足で1000円というような考え方のタンパク質選びです」
「……?」
タンパク質は“組み合わせて”摂る
「1つで7gのタンパク質を摂れる食品とその分量をお伝えするので、好きなものを3つ組み合わせて食べれば、1食で20g以上のタンパク質を確保できますよ。卵なら1個、納豆なら1パック、豆腐は3分の1丁でおよそ100g分で、油揚げなら1枚分がタンパク質7gに相当します」
「卵はコレステロールが高いと聞きますが、大丈夫でしょうか?」
「卵も大いに活用してください。タンパク質とはアミノ酸が結合したものですが、卵は体内で作ることができない必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。だから、筋肉の成長に好都合です。厳密な指針があるわけではありませんが、1日2個までにするとコレステロールの問題を含めて安心ですね。ゆで卵はいくつかまとめて作っておくと便利ですし、コンビニでも購入できます」
「ツナ缶はいかがでしょう」
「いいですね。ツナ缶は1缶で18gほどのタンパク質が含まれます。20gには少し不足するので、そういうときに便利なのが、タンパク質を3〜4g摂れる食品です。プレーンヨーグルト100gや6Pチーズ1個で不足分をカバーできます」
「なるほど。乳製品もタンパク質が多そうですね。牛乳もよいということですね」
「牛乳イッキ」は肝臓にダメージ大
「牛乳も豆乳も200mlでタンパク質を7gほど摂取できます。ただ、どちらも料理に加えるならいいですが、そのまま飲むのはやめてもらっています」
「どうしてですか?」
「牛乳にも豆乳にも糖質が含まれます。糖質を含む液体の食品を一気に飲むと、エネルギーを余計に摂取しやすいです。糖質を液体から摂ると、肝臓のダメージが進みやすいのです」
「そうなんですか?」
「しっかりかむ必要がある食品のほうが腹持ちがよいこともあります。肝臓から脂肪を落とすために空腹でつらい思いをするよりも、満足感を得ながら進めるほうが続けやすいですからね」
「確かに続けることが大切ですよね」
「そのとおりです。途切れのないタンパク質摂取のためにスーパーなどで購入しやすく、手軽に食べられる高タンパク質食品の7選〝タンパク質の神セブン〟をご紹介しましょう」
「あはは。知りたいです!」