【第4回】美容医療は緊急を要しない。だからこそ、対面でのコミュニケーションに時間をかけるべき(全10回)

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聖心美容クリニック
【第4回】美容医療は緊急を要しない。だからこそ、対面でのコミュニケーションに時間をかけるべき(全10回)
※(画像はイメージです/PIXTA)

コロナ禍を機に、医療現場でも急速に普及したオンライン診療。自宅で受診できる利便性の一方で、画面越しのコミュニケーションに限界を感じた患者様も多いのではないでしょうか。国がDXを推進するなか、この流れは今後ますます加速するでしょう。しかし、人の“見た目”を扱い、心に寄り添うことが求められる美容医療において、診療のオンライン化はどのような課題をはらんでいるのでしょうか。本稿では、聖心美容クリニック統括院長の鎌倉達郎氏の著書『信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、美容医療における対面コミュニケーションの重要性について解説します。

対面コミュニケーションの大切さとコロナ禍の苦労

現在では「オンライン診療」を専門にされているクリニックも増えてきました。オンライン診療による処方が可能になったのは、もともとコロナ禍において、持病をお持ちの方がご自宅で処方を受けられるようにという緊急措置的な制度でしたが、この新しい診療スタイルは美容医療業界にも広がりました。

 

しかし驚くことに、患者様がクリニックまで足を運んでくださっているにもかかわらず、ドクターの診療はオンラインで、というクリニックもあるそうです。私のクリニックでもオンライン診療は行っていますが、あくまでご来院前の簡易診療や毛髪治療など継続処方の場合で、初回処方や施術にはクリニックまで足を運んでいただき、対面で診療しております。

 

オンライン診療のメリットは、自宅で診療を受けられる、地方や遠隔地でも都心と同じドクターの診療が受けられる、緊急時の応急処置に対応できることもあるといったところでしょうか。しかし、美容医療は緊急を要しない医療分野ですし、患者様の見た目に関わることなので、やはり対面での診療がベストだと思います。

 

経済産業省と厚生労働省は医療業界でのDXを推進していることもあり、将来的にオンライン診療はますます増えていくでしょう。離島などの遠隔地や歩行困難で通院が難しい方々の疾患治療にはとても良い流れだと思います。ただ、美容医療でオンライン化が進むのは処方や購入などはよいと思いますが、むやみに拡大活用されるのは個人的にはどうかと思っています。

 

対面だからこそ、患者様との距離も近くなります。患者様から得られる情報もオンラインと対面とでは圧倒的に違います。表情のわずかな変化や息継ぎの間、視線をそらした瞬間など、オンラインではとらえにくい患者様の感情が対面では直に伝わってきます。

 

コロナウイルスが蔓延した時期は、国内すべてといってもいい医療機関が対応に追われ、苦心しました。私のクリニックでも、対面で診療をする際には医師もスタッフも全員がマスクとゴーグルを着用し、患者様にも検温と消毒を徹底していただいたうえで、なおかつアクリル板をはさむという対面診療をせざるを得ませんでした。

 

マスク着用のせいで患者様の表情が分かりづらく、もどかしくも思いましたが、患者様側も医師やスタッフがマスクとゴーグルをしていたせいで不安になられたと思います。対面診療なのに、患者様とは距離があるように私には感じられました。

 

医療業界のDXは国策の一環として進められています。電子カルテの導入などは私も大賛成なのですが、コロナ禍でのもどかしい診療を経験した私には、美容医療においては診療というのはやはり対面が基本ではないかと思うのです。

 

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※本連載は、鎌倉達郎氏の著書『信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと

信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと

鎌倉 達郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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