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残された「家」と「現金200万円」…50代専業主婦、初めての就職活動
幸い、これまでどおり家に住み続けることはできましたが、明子さんを待っていたのは厳しい現実でした。長年の住宅ローンや子どもの教育費の支払いで、夫の貯蓄は200万円程度。家に住み続けることを選択したため、明子さんへの現金の財産分与はほとんどありません。
「夫が老後の準備もしてくれるだろう」と信じ、自身の貯蓄は生活費から捻出した“へそくり”程度しかなかった明子さん。30年間お金の心配なく暮らしてきましたが、突如として自力で収入を得る必要に迫られたのです。
ハローワークへ通い、求人情報を探すものの、なんのスキルもない50代の専業主婦に務まる仕事はなかなかみつかりません。ハローワークの職員からも「未経験でしょう。パソコンにすらほとんど触ったことがないんですよね。これまで働いたことがないと、条件を下げるしかありません」と告げられ、明子さんは恥ずかしい思いでいっぱいになりました。「甘かった……。仕事を探すだけでこんなに大変だとは」表情は暗くなっていきます。事務職の求人をみても、面接に行くことすら不安に感じるように。
「このままでは貯蓄が底をついてしまう……」
焦りと不安で自分を見失いかけた明子さんでしたが、なんとか近所のスーパーでレジ打ちのパートの仕事が決まります。月収は約10万円。決して十分な額ではありませんが、貯蓄の取り崩しが減ったことで、精神的には少しだけ楽になりました。明子さんは、もう少し収入の多い仕事を探し、就職活動を続けていこうと決意しました。