(※写真はイメージです/PIXTA)
雇用の足元には陰りも…成長の持続に必要な視点
ところが、売上の伸びとは裏腹に、サービス業全体の事業従事者数は前年同月比で0.6%減少。3,009万人と、わずかながら後退が見られました。売上は伸びているが、人手は減っている……このズレは決して見逃すことはできません。
その背景には、業務の自動化・省力化といった要因があるとされています。現場では、少ない人手でどう事業を回すか、という課題に直面しているケースも多くあるでしょう。特に「教育・学習支援業」や、「サービス業(他に分類されないもの)」では2%以上の減少幅を記録しており、構造的な人材不足の様相も否めません。
このように、数字だけを見ればサービス業は安定した成長軌道にあるようにもみえますが、今後を展望するにあたっては、生産性の維持と人材確保という二重の課題が浮かび上がってきました。すでに一部の業種では、AIやロボティクスの導入による省人化が進んでいますが、それが万能な解決策とは限りません。人手不足と自動化の間にある緊張関係をどう解いていくか。その答えは業種ごとに異なるでしょう。
また、サービス産業は需要の動向と密接に連動するため、観光や消費の変動、為替の影響といった外部要因の影もつきまといます。つまり、持続的な拡大には「外的リスクの管理」と「内的な効率改善」の両輪が求められるのです。
売上が伸びても、現場の実感は必ずしも一致しません。数字の奥にある実態をどう読み解き、どこに手を打つべきか――サービス産業の現状には、日本経済のこれからを占う手がかりが散りばめられています。
[参考資料]