歯を食いしばりながら働き、ようやく迎えたはずの定年。悠々自適な第二の人生を思い描いていたとしても、その計画が思わぬ形で崩れ去るケースが少なくありません。そのきっかけが、最も身近な存在であるはずの配偶者というケースも珍しくないのです。

定年退職の大手企業部長…妻からの意外な提案
「老後破産」は、もはや他人事ではありません。厚生労働省『被保護者調査』によると、2025年2月、生活保護を受けている人は164万6,229世帯、199万8,606人。そのうち高齢者世帯は89万7,525世帯。高齢者のいる世帯は全国に1,656万世帯といわれているので、約5%は生活保護受給世帯。年金に頼る生活が困難になるなか、思わぬ形で生活基盤が崩れる高齢者が増えています。
桑原徹さん(仮名・70歳)もその1人です。大手メーカーで部長職まで上り詰めたエリートでしたが、現在は郊外の築40年を超えるマンションで暮らしています。60歳で定年を迎えたとき、「これからは夫婦でゆっくり過ごそう」と考えていましたが、10歳年下の妻の答えは意外なものでした。
「これからは私が働く」